ホンゴウソウ

 

本郷草 ホンゴウソウ科 ウエマツソウ属

Andorius japonica 絶滅危惧ll類(VU)

#1 ホンゴウソウ (本郷草) ホンゴウソウ科 ウエマツソウ属 2011.07.30 千葉県君津市
#1 ホンゴウソウ (本郷草) ホンゴウソウ科 ウエマツソウ属 2011.07.30 千葉県君津市

 

 この不思議な姿をした植物を、初回の探索で、本当に運良く見つけることができました。 これも1週間前にこの地でこの花を見られた、関西の花友さんの貴重な情報があったおかげです。この場を借りて御礼申し上げます。

 

 とにかく、目立たない植物です。 今まで「足元にあってもわからないほど目立たない花」の筆頭は、キタミソウだと思っていました。 しかしキタミソウの花は極小ですが、葉を覚えれば比較的楽に見つけることができます。

 

 しかしホンゴウソウは菌従属栄養植物で、葉は退化し鱗片状のものしかありません。 写真では赤く、目立つかのように見えますが、実際には薄暗い林下で地面の落ち葉に溶け込み、顔を30cmまで近づけて凝視しないとわからないほどです。 見つけた後、カメラを交換するために3歩だけ離れて... 戻るともうわからなくなってしまうほどでした。 「下を向いて歩いていて偶然見つけられる」可能性は、この植物に関してはほとんどゼロに近いと思います。 顔を地面スレスレまで近づけて、横方向からサーチしないと、見つけることは困難と感じました。

 

#2 2011.07.30 千葉県君津市
#2 2011.07.30 千葉県君津市

 

 「ホンゴンソウは、ヒナノシャクジョウのそばにいます。 まずは、白いヒナノシャクジョウを見つけることです」というアドバイスをいただけていたのが、大きかったです。 まずHiroが運良くヒナノシャクジョウを見つけ... 二人でしゃがみ込んで見ていると、大きな黄色いチョウが森の中をフワフワと飛んで来ました 。だんだん近づいて来ます。

 

 私に触れそうなくらい近づいて... 方向転換して、低い高さで斜め前方に飛んで行きました。 それを目で追っていたら、目の前数十センチのやや盛り上がった土の上に、何か細いものが突き出ているのが目に入りました。 あれは?もしや? 近づいてみると、なんとホンゴウソウだったのです。 まるでチョウが教えてくれたかのようでした。 あのチョウにも感謝しないといけませんね。

 

#3  2011.07.30 千葉県君津市
#3  2011.07.30 千葉県君津市

 

 大きさをイメージしていただくために10円玉と撮影しました。 10円玉の直径が23.5mmですから... 高さはおよそ30mmほどでしょうか。 地上茎は針のように...というより糸のように細いです。 この小ささと暗さのせいで、ピントクッキリのきれいな写真が撮れませんでした(言い訳です)。

 

#4  2011.07.30 千葉県君津市
#4  2011.07.30 千葉県君津市

 

 画質悪化を覚悟でトリミングしてみました。茎の上部に雄花を、下部に雌花をつけます。 この下部は茎頂部の雄花は、まだ開花していないようです。 少し下の中間部に雄花と雌花が混在していました。 ちょっとわかりにくいですが、一番右に出っ張っていて花被片が反り返っているのが、雄花です。 雌花は球状に見え、白っぽい刺のような柱頭を多数出しています。

 地上茎は多く分岐していますが、中心に寄り添っているので、肉眼では2〜3本しかないように見えました。

 

#5  2011.07.30 千葉県君津市
#5  2011.07.30 千葉県君津市

 

 #5は初めに見つけた5株から数メートル離れた場所で見つけたものです。 まだ若く、開花していません。 今回の体験から会得したホンゴウソウの見つけ方は、こうです。

 ①思いっきり深くしゃがみ込む。もしくは地面に座るか、腹這いになり、

  できるだけ顔を地面に近づける。

 ②目の前の地面50cm四方を適当に決める。

 ③その中にホンゴウソウがいるのだと信じる。

 ④50cm四方の大エリアを更に10cm四方の小エリアに目分量で区切り、

  端から順に目を皿のようにしてサーチしていく。一つの小エリアに

  最低5秒はかける。計算上125秒、つまり50cm四方を最低約2分もの

  時間をかけて探す。

 

このような忍耐を要する探索を4〜5回繰り返してようやく見つけたのが、#5の株です。 湿度が高い日で、汗だくになりました。

 

ホンゴウソウ

 

ホンゴウソウ

 

林内の腐葉の間に生える多年生の菌従属栄養植物。葉緑素がなく、地下に白色の根茎があり、節から根を出す。 7〜10月に非常に細い地上茎を伸ばし高さ3〜13cmになる。 地上茎はよく枝分かれして直立し、長さ1.5mmほどの披針形の葉をまばらにつける。 全体に紫褐色〜紅紫色。花は枝先に4〜15個つき、上部の花は雄花で直径約2mm。 花被は6裂し雄しべは3個。 下部の花は雌花で直径約1.5mm、多数の雌しべが球状に集まり多数の柱頭を突き出す。 本州〜沖縄県に分布。三重県北部の楠町本郷の樹林内で発見されたので、この名がつけられた。 (参考:山渓 レッドデータプランツ)

 

2011.08.02 掲載

 

< ホンゴウソウ科「ヤクシマソウ」に関係したニュース >

屋久島で新種の植物「ヤクシマソウ」を発見 神戸大学 2016.02.12

新種「ヤクシマソウ」と命名 神戸大大学院研究グループ発見 毎日新聞 2016.02.20

屋久島で新種植物「ヤクシマソウ」 養分は森の菌類 朝日新聞 2016.02.20

「ヤクシマソウ」と命名 光合成しない新種植物 日本経済新聞 2016.02.20

屋久島で新種の植物「ヤクシマソウ」を発見 東京大学大学院 理学系研究科理学部 2016.02.20

以上の最終閲覧:2016.02.21

 

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コメント: 18
  • #1

    牧野 (金曜日, 06 9月 2013 10:44)

    昨日,嵐の後、秋めいたので,ホンゴウソウを探しに出ました。場所は、尋ねて、大体解っていたのですが、大体が甘く、見つけるができませんでした。これは難敵です。大体を詳細に変えてもらって再度挑戦するつもりです。
    コウロギランは横倉山が専売特許の如く思われがちですが、近所の山の杉林の下に、コロニーを作ったように群生してるのに驚きました。ひとつを見つけると周りはコウロギだらけで、歩くのもままなりません。どうしてこんなに小さい必要があるのか解りませんが、杉の落ち葉をよけたり、持ち上げたりして、可憐に咲いていました。

  • #2

    hanasanpo (金曜日, 06 9月 2013 23:01)

    ホンゴウソウは残念でしたね。 ホンゴウソウは、足元にいてもまったくわからない。「ほら、ここにいるよ!」と指指してもらっても、見えない。それほど見つけにくい植物ですね!(老眼の影響もあり) 上の株も、ヒナノシャクジョウが近くにいてくれなかったら、きっと見逃して通り過ぎてしまったでしょう。

    コオロギランは大群落を発見できてよかったですね! まだ見たことがないのですが、きっと小さいのでしょうね〜。
    でもホンゴウソウのように地面と似た色ではなく緑色なので、少しは見つけやすいのでしょうか?

  • #3

    牧野 (木曜日, 03 10月 2013 18:42)

    運がよければ、ホンゴウソウに出会えそうです。牧野植物園の先生が案内人を引き受けて下さって、明後日の天候次第です。今日は土佐のジョウロウホトトギスを見てきました。道は相変わらず悪いのですが、今年の花は息をのむほど綺麗です。ブログ持たない、写真は撮るのも、撮られるのも嫌い。見るのだけが楽しみ,冥土への土産、へんな趣味ですね。
    流石に植物にお詳しい。杉の枯葉が茶色いので緑のコウロギランは目を澄ませば見つけやすいのですが、今年の秋は風に乗ってくるので、青い落ち葉が隠してしまいました。三度お目にかかりましたが、水不足で非常に成長が悪いと感じました。

  • #4

    hanasanpo (木曜日, 03 10月 2013 21:36)

    写真は撮られないのですね。ご自分の目に焼き付けるだけというのは、究極の花観察かも知れません。
    ホンゴウソウに出会えるとよいですね! 釈迦に説法、孔子に論語 ですが、ルーペをお忘れなく! ジョウロウホトトギスはトサジョウロウホトトギスですか?そのお仲間はまだ見たことがありません。スルガジョウロホトトギスの場所を教えていただいたのですが、台風で断念しました。 コオロギランはいつか見てみたいランです。

  • #5

    牧野 (金曜日, 04 10月 2013 13:43)

    トサジョウロウホトトギスです。薄い黄色の花が葉の緑と、白い石灰の谷を、川の流れのように、上から下へと彩っています。何故そんなに花が大きくなくては駄目なんでしょうと、訊ねても答えは当然んありません。一見の価値ありです。
    何故ホンゴウソウにこだわるのか、それは雌花がヤマモモの実に似ていると聞いたからです。

  • #6

    hanasanpo (金曜日, 04 10月 2013 22:09)

    トサジョウロウホトトギスも見たいですが、ヤマモモの実も見てみたいです!

  • #7

    牧野 (日曜日, 13 10月 2013 21:35)

    予定をたてると、無情の大雨。今年は断念します。
    ヤマモモの実は見るものではありません。くだものです。土佐に育った人なら
    県外へ出て、実の熟れる頃、食べたいと思う。郷愁の果実、NO1でしょう。白モモ、カメゾウ、カントン等の種類があります。カメゾウが一番美味です。
    見たいと食べてみたいと、お思いなら、来年の梅雨のころ、ご連絡下されば
    小生が、思いをかなえて差し上げましょう。実の熟れる期間が短く、日持ちがしません。そのころを、お楽しみに。

  • #8

    hanasanpo (木曜日, 17 10月 2013 21:40)

    ホンゴウソウは残念でしたね。天候には勝てません。私たちも今年は何度も週末に雨に祟られ諦めた植物が多かったです。平日は仕事なので週末の天気は影響大です。
    ヤマモモが高知の方の郷愁の果実No.1とは知りませんでした。それほどに身近な果実なのですね。白モモ、カメゾウ、カントンなどの種類も初耳でした。大変勉強になりました、ありがとうございます。来年、スケジュールが合いましたら、ぜひご案内をお願い致します。

  • #9

    牧野 (水曜日, 30 10月 2013 11:09)

    秋葉山が近くにあります。その山の下が龍河洞とゆう、鍾乳洞で、古代人の置き忘れた壺で有名な観光地です。
    目的はその山の中腹、今年の異常気象で大丈夫か?心配しましたが。
    フジバカマが咲き、その密を求めて、アサキマダラが数百羽、大乱舞してます。南方系の古体を維持する、鮮やかで大型の蝶です。
    燐粉が少ないので、マーカーペンで何処から飛来した蝶であるかが解るように
    書いてあります。遠く富士山の麓からもあつまってきます。
    今年はそうゆう個体はチラホラとしか見当たらず、若い蝶が目立ちます。
    人を余り恐れないので、両手で捕捉できます。
    これから九州、沖縄へと渡り台湾まで、渡りをする蝶らしのです。
    「花の下にて我死なん。」と言った人がおりますが、私は蝶の下でも、、、、
    ちなみに秋葉のサインはAKBです。

  • #10

    hanasanpo (水曜日, 30 10月 2013 21:34)

    牧野さん、こんばんは!

    アサギマダラは私も好きなチョウの一つです。拙いものですが専用ページも作りました。あの小さな頼りない体で、どうしてあれほどの長距離を飛ぶことができるのか。身近なチョウですが、自然の驚異だと思います。
    しかし見ることができるのはいつも一つか、多くても二つ。それが数百羽もが乱舞するとはスゴイですね!さぞかし壮観なのでしょうね〜。AKB、いつか行ってみたいです。

  • #11

    牧野 (月曜日, 04 11月 2013 12:53)

    アサギマダラが好むフジバカマが絶滅危惧種とは知りませんでした。私の友人に庭にオガタマの木を一本植えてミカドアゲハを、幼虫の時から飼育している
    のがいます。昔、蚕を飼育していたのとおなじです。毎年30頭ぐらいは羽化します、自然界で飛んでいるのはあまり見かけません。薄緑の綺麗な蛹を作ります、蛹の色が少し茶色みを帯びると、羽化の始まりです。
    自然界では産み付けられた卵の1~2%ぐらいしか羽化しないそうです。
    綺麗な蝶をまじかで見る事ができます。自然の造形物の不思議を感じないわけにはまいりません。羽が渇くと大空へ旅立ちます。

  • #12

    hanasanpo (火曜日, 05 11月 2013 04:18)

    フジバカマは数を減らしているようで、私たちは数回しか見ることができていません。ミカドアゲハは関東ではまったく見ないチョウですが、とても美しいですね。オガタマの木は知りませんでしたが、調べたらとても美しい花を咲かせるのですね。香りも素晴らしいとか。しかし高木になるそうなので、ご友人もだんだんミカドアゲハの飼育が大変になるのでは?などと思ってしまいました。

  • #13

    牧野 (火曜日, 05 11月 2013 06:02)

    何時も的確なご指摘、感心させられます。成長点を止めても、上へ上へと高くなります。種ができる筈ですから、実生の子生えができてもいいはずですが?
    食層が必られていて、オガタマ、か、タイサン木だそうです。
    我が家にはタイサン木はありますが、虫喰いの跡が残るような、柔らかい葉をしておりません。オガタマに似た木でバナナツリ―も植わっています。
    この木が花を咲かせると、庭はバナナの匂いでむせかえります。
    ミカドは高知が南限で天然記念物に指定されていましたが、温暖化のせいで
    大分北でも見られるようになったと聞いております。関東でも見られるようになるといいですね。

  • #14

    hanasanpo (水曜日, 06 11月 2013 05:36)

    バナナツリー? 調べてみたらカラタネオガタマという和名があるのですね。でも言いにくいのでバナナツリーがいいですね。科も違う植物なのにバナナの香りがするとは... 一度嗅いでみたいものです。牧野さんは私の知らない植物や昆虫をたくさんご存知なので、いつも勉強になります。

  • #15

    牧野 (水曜日, 06 11月 2013 21:04)

    私など、貴方の足元にも及びません。
    昆虫が出てきたので今晩は昆虫。玉虫、これは見事に七色に輝きます。
    自然のまえでは、ただ腕を振るだけです。昔は沢山いたのでしょう。
    玉虫之厨子が残されていますから。
    「馬追いの 髭のそよろに 来る秋は 眼を閉じて思い見るべし」
    問題は馬追いです。スイッチョ、頭のとがったバッタの種類。これの触角が
    馬を追う鞭ににているから。これは視覚的には第一候補。
    馬追小金虫、カブトムシを一回り大きくした黄金虫、これの触角、櫛状をした可憐な触角、この黄金虫の羽音に驚いて馬が走りだします。これは聴覚。
    この歌の格調を高めるのは断然「馬追い小金」子供の頃一度捕獲して興奮した事を覚えています。今は見かけません。

  • #16

    hanasanpo (水曜日, 06 11月 2013 22:46)

    長塚節ですか? 歌にもお詳しいのですね。私はそちらの方はまったく疎いです...。 でも秋の訪れを素晴らしい感性で表現した歌ですね。
    玉虫は子供の頃時々見ました。あのメタリックな輝きに魅了されたのを覚えています。もう何十年見ていないか... 馬追小金虫というデカい黄金虫がいるのですか? カブトムシより大きいとは迫力モノですね!

  • #17

    牧野 (木曜日, 07 11月 2013 13:13)

    迫力満点です。辞書には見当たりません。林間学校で田舎へ行った時に宿所へ飛び込んできたのを捕獲したものです。地元の人が「それは馬追い小金」と教えてくれたものです。空へ放すとき凄い羽音がしたので記憶から消えません。
    人肌色の櫛の歯状の触角はゆらゆらと、触れたら折れそうな風情で揺れていました。ヤッコソウのニュウスと一緒にフジバカマの原種が1キロメートルに渡って群生しているのが発見されたそうです。今日でも見に行こうと思っています。

  • #18

    hanasanpo (木曜日, 07 11月 2013 22:38)

    ド迫力の馬追小金は、鮮烈な記憶として残ったのですね。もう絶滅してしまったのかな? ヤッコソウも見たことがありません。いつか見てみたいものです。1キロメートルもフジバカマの原種が群生しているのもすごいことですね!