トクワカソウ

 

徳若草 イワウメ科 イワウチワ属

Shortia uniflora var. orbicularis

日本固有種

トクワカソウ 2010.04.03 岐阜県 奥美濃
 トクワカソウ 2010.04.03 岐阜県 奥美濃

 

 2010年に岐阜県の花友さんにイワザクラを案内していただきました。そのときに奥美濃の山中で見ることができた、トクワカソウです。  目にしたときはイワウチワだと思ってしまいましたが、花友さんからトクワカソウであると教わりました。  少し離れた岩場の上に咲いていて、望遠レンズでの撮影が主体となりました。

 

トクワカソウ 2010.04.03 岐阜県 奥美濃

 

 こんな感じの、ゴツゴツした岩の上にいました。 岩場の

下は小さな谷のようになっていて、簡単には近づけません。

 

トクワカソウ 2010.04.03 岐阜県 奥美濃

 

イワウチワと同様、とても可愛らしい花です。

 

トクワカソウ 2010.04.03 岐阜県 奥美濃

 

 トクワカソウは広義のイワウチワの一変種です。

分類の仕方には諸説あるようですが、本サイトで

は、平凡社の「日本の野生植物」などに従い、他

の説も参考にして区別することにしました。 イワ

ウチワのページにも載せた変種の識別ポイントの

表をここでも掲載します。

  イワウチワ・トクワカソウ・オオイワウチワの相違点

和名

種内分類群名

variant

葉の特徴 分布

イワウチワ(狭義)

(別名コイワウチワ、

 カントウイワウチワ)

kantoensis

基部は深く心形。

葉の長さより幅が広い。

長さ1.8~3.5、幅2~4cm

葉脈が目立つ。

宮城県〜東京都の

太平洋側の山地

トクワカソウ

orbicularis

直径2.5〜3.0cm。

基部は円形~くさび形、

時にわずかに心形。

北陸〜近畿地方

オオイワウチワ

uniflora

直径3〜8cm。

葉の長さと幅はほぼ同長。

基部は心形。

秋田県〜新潟県の

日本海側の山地

 2010.04.03 岐阜県 奥美濃

 

 花は他の変種とそっくりです。 花の詳細については、

イワウチワのページをご覧下さい。

 

 変種を見分けるポイントは葉になります。 図鑑には

トクワカソウの葉の基部(葉柄との接続部分)の形状は

「円形〜くさび形、時にわずかに心形」とありますが、

上の写真ではどうでしょう?

 

 見る人により意見が分かれそうですが、私は「わずか

に心形」かなと思いました。  「心形の度合い」はイワ

ウチワより明らかに浅いように見えます。

 

 また、イワウチワの葉は「長さ<幅」(縦長)である

のに対して上のトクワカソウの葉は「長さ>幅」(横長)

です。 下の写真で示した葉の縦横比は、一例であり、

実際にはさまざまな比率が存します。

 

 さらに詳しく葉を見てみます。 下の写真にマウス(

ポインター)を重ねてみて下さい(スマホはタップ)、

葉の特徴が図示されます。

 

トクワカソウの葉

 

 これは別の個体の葉です。 基部は心形ではなく、

円形か「緩いくさび形」と言った方がよさそうです。

葉には光沢があり、縁に鈍い鋸歯があります。鋸歯

の先端部には赤みがかった、ポチッとした突起があ

ります。鋸歯の様子や数はイワウチワとよく似てい

ます。

 

 葉の縦横比は、この葉では「長さ≒幅」に見えま

す。 葉脈が浮き出てやや目立ちますが、イワウチ

ワのように白っぽく目立つことはありませんでした。

この点はイワウチワと大きく違うと思いました。

葉の先端部がやや扁平になっているのは、イワウチ

ワと同じです。

 

 ここでイワウチワの葉と見比べたいと思われたか

も知れませんね。 そこで下にイワウチワの葉の写

真を持って来ました。 やはりずいぶん様子が違い

ますね。(これもオンマウス/タップして下さい)

 

イワウチワの葉

 

 イワウチワ、トクワカソウと続いたので、

次はオオイワウチワのページを作って締め

括りたいと思っています。

 

2013.04.18 掲載

 

コメント: 6 (ディスカッションは終了しました。)
  • #1

    harumi (土曜日, 18 10月 2014 23:08)

    fukuikennto sigakenn zakaino akasakayamade tokuwakasouno namaeo
    siri hajimetekiku namaede sirabetatokoro kidennno monoga itibannwakariyasuku totemo bennkyouni narimasita arigatougozaimasita

  • #2

    hanasanpo (日曜日, 19 10月 2014 04:41)

    harumiさん、コメントをありがとうございます。
    お役に立てて幸いです。

  • #3

    ゆき (日曜日, 13 12月 2015 21:20)

    こんばんは、HIROさん、kenさん、写真ありがとうございます、イワウチワ、トクワカソウ、オオイワウチワとの相違点も、じっくり拝見しました、トクワカソウ、断崖絶壁に、着生してれる、お花なんですね、優しいピンク色のお花も、魅力的ですね。葉っぱの形状や葉脈の入りかたや自生の住み分けも、あるのですね、とっても、勉強に、なります。ありがとうございます。

  • #4

    HiroKenのKen (月曜日, 14 12月 2015 08:07)

    ゆきさん、いつもご覧いただきありがとうございます。
    3種はとてもよく似ているのですが、よく見るとそれぞれに特徴があることがわかります。ただ、変異もあるので分布域が重なる地域では、どちらか判別しにくい場合もあるでしょうね。

  • #5

    ゆき (月曜日, 14 12月 2015 19:16)

    こんばんは、HIROさん、kenさん、ありがとうございます、細部に、いたるまで、美しい写真で、わかりやすいです、それぞれの株の変異とお花の美しさも、自然の調和ですね、早春の他の植物よりも、いち早く、咲く姿も、いいですね。

  • #6

    HiroKenのKen (火曜日, 15 12月 2015 00:34)

    ありがとうございます。この仲間は、花の形がかわいいですよね。そして、色も良い。白や、ごく淡いピンク色が、早春の清らかな空気にもピッタリ合います。

 

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