ウスバサイシン

 

薄葉細辛 ウマノスズクサ科 カンアオイ属 ウスバサイシン節

Asarum sieboldii

ウスバサイシン  2009.05.09 山梨県北杜市
 ウスバサイシン  2009.05.09 山梨県北杜市

 

 山地の湿った林下に生える多年草。 花期は3〜5月。 本州中西部に分布します。

名の由来は他のカンアオイ属より葉が薄いので「薄葉」、細い根は辛味があることから「細辛」で薄葉細辛となったようです。 根茎や根は漢方薬に使われるそうです。

 

 2010.04.04 岐阜県
 2010.04.04 岐阜県

 

茎は地を這い、先に2個の葉が偽対生につきます(対生に見えますが

正確には互生)。 花は2つの葉柄の間から柄を出し、1個つきます。

 

 2010.04.04 岐阜県
 2010.04.04 岐阜県

 

 花は低い位置につきますが、地面に接するほどでは

なく、地面から花の径1〜2個分、高い位置につきます。

 

 2010.04.04 岐阜県
 2010.04.04 岐阜県


 ウスバサイシン節は、2007年に従来の4種に加え3つの新しい種(トウゴクサイシン、ミクニサイシン、イヅモサイシン)が発表され、計7種が分布することが明らかにされました。 7種はほぼ異所的に分布するとのことです。 ウスバサイシンは本州の中西部に分布するとされ、本メージに掲載した花の観察地はそれと合致し、特徴も合うのでウスバサイシンとしました。


ウスバサイシン 2012.04.28 山梨県北杜市
 2012.04.28 山梨県北杜市


 開花間もない、フレッシュな株です。 葉はまだ展開しきれていないのに、花は立派に咲いていました。 花もフレッシュなので、雄しべはまだ外側に倒れ、放射状に見えます。 後でもっと大きな写真で見てみます。



 ウスバサイシンの葉はその名のとおり薄く、卵心形をしています。 長さは5〜8cmで、先は急にとがり、基部は深い心形です。 表面にはあまり光沢がありません。 葉には始め短毛があり、後になくなるとのことです。



 図鑑には葉の両面脈上に毛がある、とあります。 確かにありましたが...とても短くて目立ちません。 上の写真にオン・マウス(スマホはタップ)すると、右の葉の中央付近を目一杯トリミングした写真に切り替わります。


ウスバサイシンの花の側面  2009.05.09  山梨県北杜市
 花の側面  2009.05.09  山梨県北杜市


 萼筒は扁球形(かぼちゃを連想させるような形ですね)で、縦の稜があります。

ウスバサイシン節なので萼筒の基部は「合着」、上部は「接着」、そして3個の萼裂片に別れ平開しているはずですが、「合着」と「接着」の部分は外面からは識別できませんでした。 裂片と裂片の間にかすかに線のようなものが見えますが... そこが「接着」している部分なのかな?


ウスバサイシンの花を斜め後方から  2009.05.09  山梨県北杜市
 花を斜め後方から  2009.05.09  山梨県北杜市


 花を斜め後方から見た様子です。 萼裂片は三角状広卵形で、先がとがり、縁は外側に反り返ります。 裂片の先端はまるで指でつまんだようになります。 この特徴は、北関東に生えるトウゴクサイシンではもっと顕著でした。


ウスバサイシンの花の正面                   2012.04.28 山梨県北杜市
 ウスバサイシンの花の正面                   2012.04.28 山梨県北杜市


 開花したばかりの若い花の正面です。 花の径は1〜1.5cmで、暗紫色〜紫褐色、ときに黒紫色です。 カンアオイ節の植物のように、萼筒開口部につば状の環がありません。 花の中心にあるのは、6個の花柱が合着し、柱状になったものです。


 雄しべは12個あります。 始めは外側に倒れていて、だんだんと立ち上がり、葯が裂開して花粉を出す頃にはしっかり立って、花柱に接するようになります。 上の花はまだ若いので雄しべは外側に倒れた状態で、それを上から見ているので雄しべが放射状に広がっているように見えます。 フレッシュな花はとても初々しい感じがして、美しいと思いました。


ウスバサイシンの花の中心部の様子
 花の中心部の様子

 

 画質が落ちてしまいますが、花の中心にもう少し寄ってみましょう。 図鑑には「花柱の先は切形で縦溝があり、外側に柱頭がある」とあります。 切形であるかはわかりませんが、縦溝は確認できました。 そして柱頭も。 写真に図示しました。

萼筒の奥(底の方)は、白っぽい。

 

ウスバサイシン 2010.06.06  山梨県北杜市
 2010.06.06  山梨県北杜市


上の写真では花柱先端の「縦溝」がよく見えます。


ウスバサイシンの萼筒内面には縦の隆起線があった  2009.05.09  山梨県北杜市
 萼筒内面には縦の隆起線があった  2009.05.09  山梨県北杜市

 

 上の花は十分成熟し、花粉をたくさん出しています。 雄しべは花柱に密着していますね。 これは自家受粉も行なうためかも知れません。 

 

 萼筒の内側には、縦の隆起線がありました。 正確にはわかりませんが、15本ほどあるように見えます。 図鑑では「不明瞭な縦溝がある」という表現でしたが、けっこうはっきりした、溝ではなく隆起した線に見えました。


2015.11.23 掲載



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コメント: 4
  • #1

    ゆき (金曜日, 27 11月 2015 20:14)

    こんばんは、HIROさん、kenさん、カンアオイ&サイシン、写真ありがとうございます、お二人の研究熱心さが、すごいです、お花のすくなくなる、季節では、ありますが、カンアオイ&サイシンも、葉っぱとお花が、個性的で、見ていて、いろいろ楽しいです、常緑で、ふれると独特な香りの葉っぱや焦げ茶色から、白系のお花も、個体差が、魅力的ですね。

  • #2

    HiroKenのKen (金曜日, 27 11月 2015 22:57)

    ゆきさん、こんばんは〜
    拙い写真と文のホームページですが、いつもご覧いただきありがとうございます。
    カンアオイ属は以前はさほど興味がなかったのですが、最近その面白さに気付いていまいました。 パッと見はどれも似ていますが、じっくり観察するとどれも個性派です。
    匂いはあまり感じたことがないので、これからは鼻も動員して観察してみますね!

  • #3

    ゆき (土曜日, 28 11月 2015 06:52)

    おはようございます、HIROさん、kenさん、いつも、嬉しく拝見してます、ありがとうございます、いぜん、教えて、いただいた、イズノシマ大文字草、まだ、咲いてました、愛らしいですね、遅咲きでしょうか。

  • #4

    HiroKenのKen (土曜日, 28 11月 2015 13:02)

    ゆきさん、こんにちは。
    イズノシマダイモンジソウ、まだ咲いていましたか!
    ずいぶん花期が長いですね〜 千葉県は、特に南の方は暖かいので、花も長く咲いているのかな? イズノシマダイモンジソウ、またじっくり観察したいです。