ツツザキヤマジノギク

 

筒咲山路野菊 キク科 シオン属

Aster hispidus var. tubulosus

環境省RL:記載なし 長野県RL:絶滅危惧1A類

 ツツザキヤマジノギク  2013.10.27 長野県 alt=450m
 ツツザキヤマジノギク  2013.10.27 長野県 alt=450m

 

 南信州の天竜川の河原で、とても変わった野菊を見ることが

できました。 舌状花が、筒状になっているのです。 このよ

うなキク科の植物は初めて見ました。

 

 キク科の植物の花は、多数の小さな花... 小花(しょうか)の

集まりです。 中心部には筒状の形の筒状花が集まり、周辺部

には平たい形の舌状花が並び、頭花(頭状花序)を形成します

(註1)。 舌状花も根元付近は短い筒状になっているのですが、

この花の舌状花は、先端付近まで筒状になっているのです。

 

 

 舌状花が筒状なので細く見え、まるで幼児の描く「お日様」

のように見えます。 ただしかなり変化が多く、不完全に筒

状になったもの、筒状にならず不規則に切れ込んだもの、通

常の舌状花に見えるもの、など個体により様々で、同一個体

で異なる状態の花をつけているものも多数ありました。 と

ても不安定で、形状が定まっていないようです。 そのよう

な中で、上の若い個体は、30個近くつけたすべて頭花の舌状

花が、完全な筒状になっていました。

 

 

 この個体の頭花は、舌状花の先端が4〜5裂

していました。 先端部の裂け方は様々です。

 

          

 ヤマジノギクの変種とされています。 上の

頭花の舌状花は先端が深く裂け、その結果、筒

状の部分は短くなっています。

 

 

 上側の頭花は通常と変わらないような舌状花を

つけています。 一方、下側の頭花の舌状花は基

部付近まで深裂し、その結果、多くの舌状花をつ

けているように見えます。

 

ツツザキヤマジノギク

 

 高さは50〜150cmほど。 水際より少し離れた、地盤が

安定していそうな場所に多くいました。 一時は大変数を

減らしたそうですが、河原の基盤整備や外来植物の駆除作

業で、数を回復して来ているそうです。 しかし分布域は

極めて限られているので、継続的な保全活動が行われない

と、絶えてしまう危険性が高そうです。

 

ツツザキヤマジノギクの総苞
 総苞

 

総苞片は線形です。 カワラノギクを連想しました。

 

ツツザキヤマジノギク
 茎

 

茎には毛が多い。

 

ツツザキヤマジノギクの葉
 茎葉

 

茎葉も毛が多い。 全体として、やや毛深い感じでした。

 

ヤマジノギクの根生葉
 根生葉

 

 根生葉は開花期には枯れるようで、成熟した大型の

個体には、残っていませんでした。 若い小型の個体

には、わずかに残っていました。

 

ツツザキヤマジノギクの果実期
 果実期
ツツザキヤマジノギクの果実期

 

 果実期の頭花。 冠毛は明るい薄茶色でやや目立ち

ます。 舌状花は変冠毛とのことですが、この写真で

はよくわかりません。

 

 

註1)筒状花だけで舌状花がない種類(アザミなど)、舌状花だけで筒状花がない

   種類(タンポポなど)もあります。

 

2013.11.15 掲載

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