.    HiroKen花さんぽ が、研究者のお役に立てていた!

 

 2016年の元旦にいただいた花友さんの年賀状に、このようなメッセージが書かれていました。

 

 『日本植物分類学会の会誌「分類」2015年 15巻2号の、シロバナネコノメソウとハナネコノメに関する論文の中で HiroKen花さんぽ の記事が引用されてましたよ〜』

 

 「へえ〜」と思い、論文のコピーを送っていただきました。 その論文を当サイトに掲載することはできませんが、学術情報データベースCiNii(サイニイ)の該当ページから、どなたでもPDF形式でダウンロードして、読むことができます。

こちらです>> http://ci.nii.ac.jp/naid/110010014892

 

 上記リンクで開くページの、オレンジ色で『CiNii 論文PDF オープンアクセス』と書かれたボタンをクリックすると、ダウンロードが始まります(閲覧には、Adobe ReaderなどのPDFを読めるアプリが必要です... ほとんどのパソコンやスマホには、PDFファイルが読めるソフトがインストールされていると思います)。

 

論文の表紙のイメージ
論文の表紙のイメージ

 

 論文のタイトルは、『花粉の色によるシロバナネコノメソウとハナネコノメ(ユキノシタ科)の判別とその地理分布』です。 著者は、織田二郎氏と村長昭義氏です。

 

 正直に申しますと、論文を頭から読むより先に、「どこに HiroKen花さんぽ のことが書いてあるんじゃ〜!?」と探してしまいました。 すると3ページ目の中ほどに、おー、あったあった! そして,解決の方向性が見えなくて困っていたときに,シロバナネコノメとハナネコノメでは花粉の色が異なるとの書き込みをインターネットサイト(HP“HiroKen 花さんぽ”)で見出した』 とあるのを見つけました。

 

 そして論文の末尾にも、HP “HiroKen 花さんぽ” の発信者には特に感謝する次第である』 と謝辞が書かれていました(おー、何かのお役に立てたようだぞ!)。

 

 ここまで確かめてから、改めて全文に目を通してみました。 興味のある方は、ぜひ原文を読んでいただきたいと思います。 とても平易な文章で書かれ、読み手にわかり易いようにと配慮された論文ですよ。

 

 詳細は原文をご参照いただきたいですが、非常に乱暴に要約してしまうことを許していただけるのであれば、以下のようになります。

 

・西日本にはシロバナネコノメソウが分布し、東日本にはその変種の位置付けとな

 る、ハナネコノメが分布している。 両者の判別点は、①花の数 ②葉の円鋸歯の

 数 ③葉と葉柄の毛 ④萼裂片の形状 ⑤雄しべの萼片からの超出長 と5点あ

 る。 多くの判別点があるので、その判別は容易であるはずである。

 

・しかしながら、両者の分布の境界域については、過去に多くの研究者により調査さ

 れたにも関わらず、諸説があり、定まっていなかった。 判別点は多いものの、特

 に岐阜県や近畿地方においては、判別が非常に難しい個体が多いという実情があ

 った。

 

・著者はこの問題に興味を持ち、複数の標本庫の標本を用いて、雄蕊の長さや萼片先

 端の形を概観してみたが、やはり近畿地方の標本は、両者の判別が困難である場合

 が多く、問題解決への方向性が見えない状況であった。

 

・そのようなときに、HiroKen花さんぽ のシロバナネコノメソウのページで、「シロ

 バナネコノメとハナネコノメでは花粉の色が異なる」との記事を見出した。 この

 ことを裏付けるため、先の判別点に花粉の色も加え、開花中の生植物や、信頼のお

 ける写真等で調査を実施した。

 

 さて、その結論は? 花粉の色は、シロバナネコノメソウとハナネコノメの判別に有効であったのか? 両者の分布境界について、新たな見解は示されたのか?

 ぜひ、論文の「考察」欄にてご確認下さい!

 

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 今回のことで、私たちのような素人でも、専門家である研究者のお役に立てることもあるのだとわかり、とてもうれしく、また誇らしくも感じました。

 

 論文の「HiroKen花さんぽで花粉の色が違うという書き込みを見出した」という下りは、「自分たちが、たまたま気づいた」としてしまっても、誰にもわからなかったと思いますし、論文の内容になんら影響を与えなかったと思います。 しかし、ありのままをきちんと書かれていることや、正体不明(?)のHiroKenに対して謝辞まで述べられていることに、著者の織田二郎氏と村長昭義氏の誠実さを感じました。

 

 両氏とは、その後メールで少しやり取りがありました。 さらに研究が進められており、新たな事実も判明しているそうです。 最新の成果を知るのが楽しみです。 両氏とも、とても気さくな方で、関西方面へ出かけた際には、花の案内をしましょうと、ありがたいお言葉をいただきました。 なかなか機会を作れず、まだお会いできていないことだけが残念です。

 

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 論文の本文は日本語ですし、とても読み易く書かれています。 しかし図表の説明は、英語になっています。 私たちと同じように英語がニガテな方もいると思うので、Table 1.(表1.)とFig.4(図4.)の説明のみ、頑張って和訳してみました。 HiroKen独断の和訳で、意訳もあるので、あくまでも参考に留めて下さい。

 

 

表1.  シロバナネコノメソウとハナネコノメの判別点(Hara, 1938,1939)

              シロバナネコノメソウ    ネコノメソウ

花の数           通常6個かそれ以上      1〜4個

葉の鋸歯の数        5〜9             3〜5(7)

葉と葉柄の毛        多い            少ない

萼裂片の形状        鋭角            鈍角

雄蕊の萼片からの超出長   短く超出か萼片より短い   長く超出 

 

 

図4. シロバナネコノメソウとハナネコノメの花粉の色と萼片形状の分布図

黄の円:花粉は黄色、萼片の先端は円頭(1)または鈍頭(2)

白の円:花粉は白、萼片の先端は(1)または(2)

白の三角:花粉は白、萼片の先端はやや鋭頭(3)か鋭頭(4)

星印:植物標本に基づきハナネコノメと見込まれる場所。

網掛部:’ハナネコノメ’(Wakabayashi 2001)とキバナハナネコノメを含むキイハナネコノメの近位範囲