ミヤマダイモンジソウ

 

深山大文字草 ユキノシタ科 ユキノシタ属

Saxifraga fortunei  var. incisolobata f. alpina

#1 ミヤマダイモンジソウ  2009.08.03 長野県 八方尾根 alt=2000m
#1 ミヤマダイモンジソウ  2009.08.03 長野県 八方尾根 alt=2000m

 

 本州の中部地方以北から北海道までの、亜高山帯に分布します。 湿った草地や岩場に生える多年草です。 ダイモンジソウの高山型変種とされています。 花期は7〜8月。 八方尾根の標高2千メートル付近で見ることができました。 岩の上に薄い土壌層があるような、明るく湿った草地でした。

 

#2 ミヤマダイモンジソウ
#2 ミヤマダイモンジソウ

 

 花茎の高さは2〜20cmで、ダイモンジソウより小型です。 葉はすべて根生し、長い柄があります。 葉は腎円形で、長さは5〜15cmで、縁は掌状に浅〜中裂します。 葉にはほとんど毛がなく、長毛が生えるダイモンジソウと異なります。

 

#3 ミヤマダイモンジソウ
#3 ミヤマダイモンジソウ

 

 ミヤマダイモンジソウは、枝分かれせず、集散花序に花をつけていました。 観察できた個体数は少なく、種の特徴であるとは言えませんが、ダイモンジソウと比べると花数がやや少ない印象でした。

 

#4 ミヤマダイモンジソウ
#4 ミヤマダイモンジソウ
#5 ミヤマダイモンジソウの花
#5 ミヤマダイモンジソウの花

 

 ダイモンジソウの名の由来は、花の形が「大」の字に似ているから。 本種も、花弁が5つあり、上側に小さな3弁、下側に大きな2弁があり、なんとか大の字に見えます。 但し下側2弁は、ダイモンジソウほどには大きくなりません。

 

#6 ミヤマダイモンジソウの花
#6 ミヤマダイモンジソウの花

 

 #6は、開花が始まったばかりの株です。 茎頂部に咲いた花は、上下逆に写してしまっていますが、この花で説明します。 上側3弁(手前側)は楕円形で、長さ2〜5mm。 下側2弁(奥側)は長楕円形で、長さ3〜12mmです(*1)

 

 ダイモンジソウの上側3弁は披針形なので(図鑑*2 は楕円形としている)、形状もダイモンジソウとは異なるように見えます。 同様に下側2花弁もダイモンジソウより小さく、形状も異なります。

 

 花の中央にある丸い濃黄色の部分は花盤で、その中心から柱頭が2個突き出します。雄しべは10個で、葯は濃紅色。 純白の花弁とのこコントラストが美しい。 花糸は白色で、基部より先端方向がわずかに太くなります。

 

#7 ミヤマダイモンジソウの花  中心に花柱が2個見えます。
#7 ミヤマダイモンジソウの花  中心に花柱が2個見えます。
#8 ミヤマダイモンジソウ 子房が膨らみ始めた花は、花盤がみかん色になっていました
#8 子房が膨らみ始めた花は、花盤がみかん色になっていました

< 引用・参考文献、及び外部サイト >

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*1 山渓ハンディ図鑑8 高山に咲く花 増補改訂新板

   http://www.yamakei.co.jp/products/2812070300.html

   山と渓谷社 2014年4月15日 初版第1刷 p.159 (ミヤマダイモンジソウ)

 

*2 山渓ハンディ図鑑2 山に咲く花 増補改訂新板

   http://www.yamakei.co.jp/products/2811070210.html

   山と渓谷社 2013年3月30日 初版第1刷 p.288 (ダイモンジソウ)

 

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2017.05.26 掲載

 

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コメント: 2 (ディスカッションは終了しました。)
  • #1

    並木 ますみ (木曜日, 27 8月 2020 10:10)

    白馬岳と清水岳の間の雪渓にミヤマダイモンジソウの群落。その中に二株の薄ピンクで花弁が10枚のミヤマダイモンジソウが混ざって咲いていました。突然変異ですか?調べましたが分かりません。

  • #2

    Ken (木曜日, 27 8月 2020 19:48)

    並木さま
    突然変異であるかどうかは、簡単にはわからないのではないかと思います。どこの世界にも「変わり者」はいるものでございますので... ネット上には様々な情報がありますので、検索ワードを変えるなどして調べてみてはいかがでしょうか。例えば「花弁の数の変異」などで検索すると、ミヤマダイモンジソウではない別の植物かも知れませんが、それなりの知見が得られるかも知れません。