ハルユキノシタ

 

春雪の下 ユキノシタ科 ユキノシタ属

Saxifraga nipponica

ハルユキノシタ 2015.05.16 長野県 alt=975m(このページの写真すべて)
 ハルユキノシタ 2015.05.16 長野県 alt=975m(このページの写真すべて)

 

 山地の岩上に生える多年草です。 花茎の高さは20〜30cm。 本州の関東地方〜近畿地方に分布します。 花期は他の多くのユキノシタ属より著しく早く、4〜5月に咲きます。  花期が近いユキノシタ(5〜6月)より早く、早春に咲き出します。 ユキノシタに似ていますが、いくつか異なる点があります。

 

ハルユキノシタは小さな沢の畔の斜面に生えていました。 湿り気の多い場所です。
 小さな沢の畔の斜面に生えていました。 湿り気の多い場所です。
ハルユキノシタの基部の様子
 基部の様子

 

 葉は緑色で斑紋がなく、ユキノシタのように紅色を帯びません。 根出葉は長さ5〜16cmの葉柄があり、円形〜腎円形で、長さ2〜6cm、幅2〜7cm。 基部は心形で、縁は13〜17浅裂し、縁には鋭鋸歯があります。 ユキノシタ属の花はよく似ているので、葉の特徴を見ることも重要ですね。

 

ハルユキノシタの基部の様子

 

ユキノシタのように走出枝(匍匐茎)はなく、根茎

が横に這います。 葉と花茎には腺毛が生えます。

 

ハルユキノシタの花序は集散状
 花序は集散状

 

花序は集散状です。 時期がやや遅く、花は終

わりかけていたのでちょっと寂しい状態でした。

 

ハルユキノシタの花の正面-1
 花の正面-1

  ハルユキノシタの花は左右対称、花弁は白色で開出します。 上側の3弁は広卵形で小さく、長さ3〜5mm、鋭頭です。 ユキノシタ(右)では濃紅色の斑点が目立ち、基部に小さな黄色の斑点があります。 

 ハルユキノシタには濃紅色の斑点はなく、その部分は白色で、基部付近に少し大きく、濃い黄色の斑があります。 花弁基部には爪があります(爪とは花弁基部の細くなった部分)。

 

 下側の2弁は多少大きさが異なりますが、長楕円形で大きく、長さ10〜25mmになります。 雄しべは10個、長さ約5mm。 裂開直前の葯は淡黄色または淡紅色です。 花の中心で2個突き出しているのは柱頭で、その基部の丸く濃い黄色の部分は花盤です。


ハルユキノシタの花の正面-2
 花の正面-2

 

 萼にも腺毛があります。 上の写真の花は葯がほとんど落ちてしまっています。 下側の2個の花弁は大きさが不揃いのことが多いのですが、なぜか向かって右側の花弁が大きい花が多かったです。

.

ハルユキノシタの花の拡大-1  赤い矢印部が花弁の爪
 花の拡大-1  赤い矢印部が花弁の爪

 

 前述の「上側の花弁の爪」が見えにくと感じたので、拡大写真を載せました。 この写真でも雄しべに隠れて見えにくいですが、赤い矢印の部分が爪です。

 

ハルユキノシタの花の拡大-2 花弁の縁の微細なギザギザにご注目
 花の拡大-2  花弁の縁の微細なギザギザにご注目

 

 花弁の縁には、微細な鋸歯のようなものがありました。 他のユキノシタ属の花ではどうなのか? 今後の観察課題にしたいと思います。

 

ハルユキノシタの花の側面
 花の側面

 

 下側2個の花弁は、前方に向かって反っていました。

花柄の分岐点に見える小さな突起は苞で、披針形です。

 

ハルユキノシタの花の背面
 花の背面

 

花の背面の様子です。 萼裂片は長楕円形〜卵状3角形で、

長さ2.5〜4.5mm。 平開し、花後に反曲します。

 

ハルユキノシタ

 

 ハルユキノシタの花は、今回初めてみることができました。 一昨年(2014年)の4月に別の花目的でこの場所を訪れ、Hiroが葉を発見したのです。 その時はまだ花茎も伸ばしていませんでしたが、Hiroが「きっとハルユキノシタだ」と言うので、翌年確認に来た次第です。 推測した通り、ハルユキノシタでよかったです。 次回はもう少し旬な時期に見てみたいですね。

 

 

< 引用・参考文献、及び外部サイト >

 

山渓ハンディ図鑑2 山に咲く花 増補改訂新板

山と渓谷社 2013年3月30日 初版第1刷 p.287

 

山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花 増補改訂新板

山と渓谷社 2013年3月30日 初版第1刷 p.297

 

日本の野生植物 草本 Ⅱ 離弁花類

平凡社 1982年3月31日 初版第3刷 p.171

 

 

2016.01.?? 掲載

 

 

コメント: 4 (ディスカッションは終了しました。)
  • #1

    宇治のヒカルゲンジ (月曜日, 01 2月 2016 10:57)

    いつも楽しみに見させていただいています。
    ユキノシタを追っかけています。写真を見直してみると写真のハルユキノシタほどはっきりしてませんが花弁に微細な鋸歯のようなものがありました。ユキノシタの場合下の大きく長い2枚の花弁は蕾の時は内側に巻き込むようにしまわれていました。ハルユキノシタの場合もその名残で花弁が内側に反っているのでは?
    そろそろ春の花さんぽ楽しみにしています。

  • #2

    HiroKenのKen (月曜日, 01 2月 2016 23:32)

    いつもご訪問いただき、ありがとうございます。
    画像掲示板の写真も拝見しました。
    蕾のときは、下側の大きな花弁は内側に巻き込まれているのですね!
    開花後の反り返りは、ご指摘の通り、その名残に違いないと思いました!
    なぜ反っているのだろう?とは思いましたが、そこまで考えが至りませんでした。
    反る理由がわかって、スッキリです。貴重な情報をありがとうございました。
    ユキノシタの仲間は、今後ホシザキユキノシタ、ダイモンジソウ、ウチワダイモンジソウ、ナメラダイモンジソウなどの専用ページを作成予定です。
    今後もよろしくお願いいたします。

  • #3

    ゆき (木曜日, 11 2月 2016 23:26)

    こんばんは、HIROkenさんのkenさん、春ユキノシタとユキノシタの比較、じっくり、拝見したした、ありがとうございます、春ユキノシタの花弁の淡いさくら色と花弁の鋸のような、微細な切れ込み、そして、黄色い模様、かわいい葉も、写真から、うかがえますね。素敵な写真ありがとうございます。

  • #4

    HiroKenのKen (金曜日, 12 2月 2016 02:36)

    ゆきさん、おはようございます。ユキノシタ属の花は似ているのですが、よく見ると、みんな個性があって、しかも美しいですね。ハルユキノシタのページも作ってみようと思います。

メモ: * は入力必須項目です