サワトラノオ

 

沢虎の尾 サクラソウ科 オカトラノオ属

Lysimachia leucantha 絶滅危惧lB類(EN) 

 サワトラノオ (沢虎の尾) サクラソウ科オカトラノオ属 2012.05.12 静岡県
 サワトラノオ (沢虎の尾) サクラソウ科オカトラノオ属 2012.05.12 静岡県

 

 見たかったサワトラノオをようやく見ることができました。 昨年は埼玉県の自生地を訪れましたが、非常に閉鎖的な管理がされており、バリケードに阻まれ自生地に入ることすらできませんでした。 詳細は把握していませんが、自生地の9割が国道建設予定地と重なり、反対運動が起きていることと関係があるのかも知れません。 しかしそれならなおさらのこと、貴重な植物が生育する環境を多くの人に知ってもらうことも重要ではないかと感じました。

 

 さて、ここ静岡県の自生地はすでに保護区域として確立できたためか、とても開放的で、誰でも簡単にこの貴重な植物に親しむことができます。 アシの中に咲くサワトラノオが見易いように、木道近くのアシを少し刈り込んでくれており、じっくり、ゆっくり観察することができました。 湿原の維持・管理方法はまだ試行錯誤の段階であるそうですが、人間による適度な関与で、好ましい環境を維持できている印象を受けました。

 

サワトラノオ

 

 湿原の中の所々に固まって咲いています。 木道からの観察になります。 想像していたよりもずっと多くの株がいました。 アシの茂みの中にも多くいましたが、木道のすぐ近くにもたくさんいて、望遠レンズに頼らなくても観察できます。 当日は訪れる人も少なく、幅の広い木道に座り込み、落ち着いて観察できました。

 

サワトラノオ

 

 個人的な感想ですが、今まで見たことのあるサクラソウ科オカトラノオ属の中で、最も美しいと感じました。 でもつい先日見ることができたトウサワトラノオはまだ咲き始めの時期であったので、見頃の時期のサワトラノオと比べてしまうのは、ちょっとかわいそうかも知れませんね。

 

サワトラノオ

 

 群れた姿を離れて眺めるもよし、近くで個々の花を愛でるもよし。 とても優雅な感じの花です。 限られた場所でしか見ることができません。 はるばるやって来た甲斐がありました。

 

サワトラノオ

 

 花穂はオカトラノオのように横に流れずに直立し、ヌマトラノオより太くなります。 花穂の先端がとがり気味になるものと、丸っこくなるものがありました。 栄養状態などに起因する違いなのか、あるいは成長の過程で変わってくるのか?

 

サワトラノオ

 

 先端がとがった花穂。 どちらかと

言えばこの形状が多かったと思います。


サワトラノオ

 

先端が丸みを帯びた花穂。

これはこれでかわいい。

 

サワトラノオ

 

花冠は5裂しますが、上のように

6裂した花も少なからずいました。

 

サワトラノオ自生地

 

 自生地の様子です。 すぐ南側を国道1号が走り、西側には

大きな工場があります。 周辺は開発で埋め立てが進み、この

湿原も消失させられる危機に瀕していましたが、サワトラノオ

などの湿性植物の保護区として、自然公園が設置されました。

 

 

<参考情報>

観察したことがあるオカトラノオ属で、まだ専用

ページがない花の写真を参考まで下に掲載します。

オカトラノオ
 オカトラノオ
ノジトラノオ
 ノジトラノオ
ヌマトラノオ
 ヌマトラノオ

 

 

サワトラノオ

 

低湿地などに生える高さ30〜80cmの多年草。茎は円柱形で稜がある。葉は広線形で互生し、長さ2〜4cm、幅5〜9mm。先端はとがり、縁は波打つ。茎の先に総状花序をのばし、白色の花を多数つける。花冠は5裂し裂片の先は丸い。つぼみのときから花柱が突き出す。葯と花粉は淡紫色。花期は5月。本州関東地方、静岡県と九州の限られた地域に分布。

 


2012.05.24 掲載

 

コメント: 8 (ディスカッションは終了しました。)
  • #1

    primrose (水曜日, 04 3月 2015 23:05)

    サワトラノオは美しいですね。名前は知っていましたが、実物は見たことがありません。いつか出会えることを夢見ています。

  • #2

    hanasanpo (木曜日, 05 3月 2015 09:14)

    サワトラノオの群生はとっても見事です。なかなか見ることができませんが、ぜひ足を伸ばして見に行ってみて下さい。「サワトラノオ 静岡県」などのキーワードで検索するとよいかも知れません。

  • #3

    haru (日曜日, 10 5月 2015 22:43)

    はじめまして。

    富士市の浮島ヶ原自然公園で
    サワトラノオが今年も咲いています。
    今年の花は少し生育が悪いようです。

    平成27年4月21日
    サワトラノオ群生地として
    富士市の天然記念物に指定されました。

  • #4

    hanasanpo (月曜日, 11 5月 2015 09:01)

    haruさん、こんにちは。
    最新情報をありがとうございます。
    市の天然記念物に指定され、保護活動もしやすくなるのではと思います。
    サワトラノオの数が増えるといいですね。

  • #5

    由美子 (火曜日, 12 5月 2015 16:38)

    新聞で知り、昨日富士市の浮島ケ原に立寄りました。
    ひっそりと可憐に咲くサワトラノオに会えてとても感激いたしました。
    いつまでも咲いていてくれることを祈ってます。
    また来年も会えるといい。
    オカトラノオも箱根で咲きます。きれいな写真をありがとうございました。

  • #6

    HiroKen (火曜日, 12 5月 2015 17:04)

    由美子さん、コメントをありがとうございます。
    ちょうどサワトラノオの見頃の季節ですね。
    とても清楚でエレガントな花だと思います。ずっと咲き続けてほしいですね。
    オカトラノオも美しい花です。群生している姿もいいですね。

  • #7

    TONBO (水曜日, 31 5月 2017 14:31)

    (水曜日、31,5月、2017,14:30)
    年に何回か富士市の浮島沼公園に行きます。
    今年も5月上旬にサワトラノオが沢山見事に咲いていました。多くの人が公園を訪れ、浮島沼公園の自然観察をして貰うことが公園の維持管理をしている富士市に力を与えて、貴重なサワトラノオがさらに増え、公園がさらに充実していくことを、期待しています。

  • #8

    HiroKen (水曜日, 31 5月 2017 22:08)

    その通りですね。行政が公園を維持管理するには、当然予算が必要になりますが、もし公園の利用者がとても少なければ、予算を削減されかねません。その面からも、多くの人が公園を訪れ自然観察をすることが、公園の維持や発展につながると思います。

 

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