アズマシライトソウ

 

東白糸草 シュロソウ科 シライトソウ属

Chionographis japonica var. hisauchiana

日本固有種  絶滅危惧ll類(VU : Vulnerable)

 アズマシライトソウ (東白糸草)  2012.05.26 埼玉県
 アズマシライトソウ (東白糸草)  2012.05.26 埼玉県

 

 ようやくこの花に出会うことができました。 朝のためか

薄暗く、やや湿った林下に、白い不思議な花を咲かせていま

した。 花には失礼ですが、「毛が抜けたブラシみたい...」と

思ってしまいました。 登山道入り口から近い場所で出会う

ことができたのは幸運でした。

 

 アズマシライトソウ シュロソウ科 シライトソウ属
 アズマシライトソウ シュロソウ科 シライトソウ属


茎の高さは20〜35cm。 茎の葉は披針形。

薄暗い林下に白い花が映えます。 分類上は

シライトソウの変種という位置づけです。

 

 

根元の葉は長さ4~7cmの長楕円形。 先はややとがり、

ロゼット状に根生します。 葉柄にご注目↓

 

 葉の株と葉柄の波状鋸歯
 葉の株と葉柄の波状鋸歯

 

葉の下半分あたりから葉柄にかけて、縁に細かな波状鋸歯が

あります。 基本種のシライトソウにはないそうです。

      ↑ゴメンナサイ、これは誤りでした。 2014年に

見ることができたシライトソウの葉柄も、同様に波打っていた

のです。 図鑑にアズマシライトソウの特徴であるかのように

書かれていたので、シライトソウにはないと思ってしまったの

です。(2014.10.04 訂正)

 

 アズマシライトソウの花序(上部)
 アズマシライトソウの花序(上部)

 

花弁は茎頂部が密で、下ほど疎になります。

 

 アズマシライトソウの花序(下部)
 アズマシライトソウの花序(下部)

 

花の密度は変わりますが、大きさは上部・

下部であまり変わらないように見えます。

花柱は浅く3裂します。

 

 

 本当に変わった花ですね。 花柄はなく、花茎から直接

花被片が出ています。 花被片は線状で白色、6個あり、

先端が耳かきのようにやや太くなります。 上側4個は下側

の2個より長く、長さ3.0~5.0mm、幅0.5mm。下側2個

はその1/3ほどの長さです。

 

 正常な雄しべと雌しべを備えた両性花を咲かせる個体と、

雄しべが退化して雌花だけを生ずる個体があるそうです。

正常な雄しべは長さ1.5〜2.0mm。 上の写真の花は6個

の雄しべが2mmほどの長さがあるようなので、両性花だ

思います。

 

アズマシライトソウ   

 

本州関東地方の限定された地域の林床に生育する多年草。シライトソウの変種として扱われる。基本種のシライトソウは上側の花被片がさらに長く、しばしば10mmを超えるのに対し、本種は3〜5mmしかない。

 

 

2012.06.02 掲載

2013.10.08 APG分類体系準拠に伴い、ユリ科からシュロソウ科に変更