ヒナノキンチャク

 

雛の巾着 ヒメハギ科 ヒメハギ属

Polygala tatarinowii  絶滅危惧IB類(EN)

ヒナノキンチャク (雛の巾着) ヒメハギ科 ヒメハギ属  2010.08.29 岐阜県
 ヒナノキンチャク (雛の巾着) ヒメハギ科 ヒメハギ属  2010.08.29 岐阜県
ヒナノキンチャク  2010.08.29 岐阜県
 ヒナノキンチャク  2010.08.29 岐阜県
ヒナノキンチャク  2010.08.29 岐阜県
 ヒナノキンチャク  2010.08.29 岐阜県
ヒナノキンチャク  2010.08.29 岐阜県
 ヒナノキンチャク  2010.08.29 岐阜県

 

 待ち焦がれた憧れのヒナノキンチャクに、ようやく会うことができた。 とても日当たりのよい、小さなガレ場に点々と咲いていた。 小さいとは聞いていたが、想像以上に小さい。離れて見ていてもこの花の魅力はわからない。 しゃがんで、いや地面に腰を下ろして、顔を近づけて、できればルーペを使って拡大して見ると、誰でも「わあ〜!」と声を上げてしまうのではないだろうか? なんとも素晴らしい色彩とかわいい形なのだ。 もう、一目惚れである。


花弁は3個。 そのうちの1つが黄色く丸い部分で竜骨弁(りゅうこつべん)と呼ばれる。 写真では見えないが、竜骨弁の中には花糸が合着した8個の雄しべが包まれているそうだ。

残り2個の花弁は、竜骨弁の上に帽子をかぶるように乗っている、先端がやや濃いめの淡紅紫色になっている部分になる。 花弁は全部で3個なので竜骨弁の1個を除くとこの帽子状の部分は2個なければならない。 1個に見えるのだが... 合着しているので、1個に見えるのだろう。 よく見ると右側の竜骨弁の上の花弁は左右の花弁が先端部でクロスしているようにも見える。

萼片は5個。そのうち2個は竜骨弁の左右斜め下に花弁のように開く。 残りの3個の萼片はこの写真ではよくわからない。

不思議に思うことがある。花は下から咲くので、花序の上側が若い花で、下側が古い花となる。 竜骨弁は咲き始めに黄色であり、時期が経つと濃い紅色になると思われるが、なぜ黄色と紅色の中間色が無いのだろう? 黄色と紅色の間に両方の中間のみかん色のような竜骨弁をつけた花があれば納得できるが、そういった部分は見られない。 ということは、咲き始めて一定の時期が過ぎると、竜骨弁はとても短い時間で黄色から紅色に変化するのだろうか? どなたか教えてください〜

2010.08.29 岐阜県
 2010.08.29 岐阜県

 

果実は茎の片側に片寄ってつき、緑色で丸く平たい。 先端がやや尖っている。 上部の縁に、紫色がかった薄茶色の筋が入る。 直径3mmほど。 果実さえかわいい花だ。

 

ヒナノキンチャクのキンチャクはこの果実が巾着に似ていることからついた。 「巾着」を辞書で調べると「布・革などで作った袋で、中に小物類を入れ、口を緒でくくるようにしたもの。 古くは金銭・守り札・印形などを入れて腰に下げた」とある。 巾着には大事なものを入れたのだ。 ヒナノキンチャクの「巾着」の中にも、きっととても大切なものが納められているのに違いない。

2010.08.29 岐阜県
 2010.08.29 岐阜県

 

ヒナノキンチャクの葉。 葉柄を含めて長さ2〜3cm。 縁に細毛が生える。 基部はきゅっとつまんだように縮まり、翼のある葉柄へつながる。

 

花もかわいければ葉もかわいい。 果実もかわいいので、もう何もかもがかわいい花なのだ。

ヒナノキンチャク 横顔  2010.08.29 岐阜県
 ヒナノキンチャク 横顔  2010.08.29 岐阜県

 

ヒナノキンチャク

 

本州(福島県以西)、四国、九州の日当たりの良い原野や崩壊地、石灰岩地に生える1年草。 高さ7〜15cm。 葉はまばらに互生し、卵形〜菱形卵形で先は尖るものから丸いものまであり、基部は流れて翼のある葉柄に続く。 長さは葉柄を含めて2〜3センチ。 花は長さ2mmほどで、淡紅紫色で横向きにつく。 萼片は5個で、側萼片2個は花弁状。 花弁は3個で、下の花弁は袋状で先が尖り黄色。 果実は茎の片側に片寄ってつき、直径約3mmの平らな円形。 和名は植物体全体も花も小さいことから雛、この果実の形を巾着に見立ててつけられた。

 

2010.08.30 掲載

 

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コメント: 7 (ディスカッションは終了しました。)
  • #1

    流れ星 (土曜日, 27 8月 2011 22:09)

    昨日自宅から1時間ほどの石灰岩地へ行ってみてきました。
    やはり同じように思います。
    花・葉がいいしなお果実もいい。超かわいいですね
    毎年見に行っていますよ~

    しかし、撮影には毎回苦労します。踏まないように細心の注意を払って石灰岩地を移動・・
    又来年も会えますように願って

  • #2

    hanasanpo (月曜日, 29 8月 2011 04:06)

    流れ星さん、ブログに当サイトを紹介していただき、ありがとうございます。
    トップの写真は、素晴らしい群生ですね!

    本当にこの花は何から何までかわいいですよね〜
    昨年初めて岐阜県で見ることができましたが、もう一目惚れでした。
    その後山梨県の自生地も教えていただき行きました。
    流れ星さんが見られた場所と同じように、気を付けないと踏んでしまう
    ほどたくさんいて、大喜びしました。
    今年も見に行く予定です。 たくさん咲いていますように!

  • #3

    みちほ (火曜日, 26 8月 2014 12:54)

    ひろけんさん、こんにちは~
    私、偶然にもこのヒナノキンチャクに出会うことができました!
    ホント、一目惚れってやつです・・・可愛いを通り越してちっちゃ~で
    撮影はほぼ全滅状態! でもでも可愛くて許せます!!
    ひろけんさんの写真から、想像していたよりず~と小さいんです!
    どうしてあんな小さな花がこんなにも綺麗にくっきりと撮れるのですか?
    又見たいお花です! ほかの咲く場所を知らないのでいつ又会えるかわかりませんが・・・

  • #4

    hanasanpo (火曜日, 26 8月 2014 20:32)

    みちほさん、ヒナキンに出会えてよかったですね!
    本当に可愛い花ですよね。私たちの中では可愛さナンバーワンの花です。
    偶然に出会われたとは、なんと運がいいのでしょう!

  • #5

    土佐市のぽち (日曜日, 08 10月 2017 20:52)

    いつもお世話になっております。先日、私も始めてヒナノキンチャク様に初対面が叶い、大感動でした。本当におっしゃる通りでした。ある所で写真をみて、此の辺りで見られるんですか?と聞いたのが始まりで、何度か行って、やっと出会えました。時間が経つのも忘れて一心にシャッターを切ってました。大事に大事にしていきたい花ですね!

  • #6

    HiroKenのKen (日曜日, 08 10月 2017 23:29)

    土佐市のぽちさん、いつも当サイトをご訪問いただき、ありがとうございます。
    ヒナノキンチャクを見ることができて、よかったですね! おめでとうございます。
    この花は小さいのですが、他にはない独特の美しさと可愛さを兼ね備えていて、何度見ても飽きません。 ご覧になった自生地が、いつまでも健全であることを祈ります。

  • #7

    土佐市のぽち (月曜日, 09 10月 2017 18:56)

    ひろけんさん、有難うございます。本当に、おめでとう、という感じでした^^;
    そして本当に、この場所でいつまでも咲いてほしいと、切に願ってます。