カンアオイ

(カントウカンアオイ)

 

寒葵(関東寒葵) ウマノスズクサ科 カンアオイ属 カンアオイ節

Asarum nipponicum

カンアオイ(カントウカンアオイ) 2013.02.03 狭山丘陵
 カンアオイ(カントウカンアオイ) 2013.02.03 狭山丘陵

 

 毎年春先になると、花を待ちきれずに近くの丘陵地帯にシュンランを見に行きます。 そんなときに決まっていっしょに観察するのが、本種です。 私たちが最も多く目にしているカンアオイ属です。

 

 冬期も葉が緑色をしており、葉の形がアオイ(葵)に似ていることが名の由来です。 他のカンアオイの仲間と明確に区別するためか、カントウカンアオイの別名があります。

 

 千葉県・東京都・埼玉県・神奈川県・そして静岡県の太平洋側の山地や、丘陵地帯の林内に生える、常緑性の多年草です。 関東地方西南部に自生するのは、本種とランヨウアオイ、そしてタマノカンアオイの3種のみのようです。

 

カンアオイ  2013.02.03 狭山丘陵
 2013.02.03 狭山丘陵

 

落葉樹の雑木林の木々はまだ葉をつけてなく、明るい。

そんな林床の所々に、このような株があります。

 

カンアオイ  2013.02.03 狭山丘陵
 2013.02.03 狭山丘陵

 

 葉は卵形〜卵状楕円形で長さは6〜10cm、幅は4〜7cmほど。 先端はややとがった形になります。 基部は深い心形で、両側がやや外側に耳状に張り出す場合があります。 上の写真の葉はそのような特徴が現れています。  葉の表面の脈は目立ちません。  色は濃緑色で、「白雲紋」というのでしょうか、白っぽく見える斑があります。

 

カンアオイ  2013.02.03 狭山丘陵
 2013.02.03 狭山丘陵

 

 花は多くの場合、葉に隠れて見えないので、少し葉をかき分けたり、落ち葉をどかしたりします。 そうすると地面に接するように、ときに半分埋もれたように、花が現れます。 花は9〜10月に咲き、そのまま越冬し春先まで残ります。

 

2009.03.07 狭山丘陵
 2009.03.07 狭山丘陵
カンアオイ 2008.02.11 狭山丘陵
 2008.02.11 狭山丘陵

 

 花弁はなく、花弁のように見える部分は萼です。 萼は基部で合着し、筒型の「萼筒」を形成します。 萼筒の先端部は3裂します。 裂片は卵状三角形で、開出します。 萼裂片は、あまり大きく波打ちません。

 

カンアオイの花の正面  2011.03.20 狭山丘陵
 カンアオイの花の正面  2011.03.20 狭山丘陵


 雄しべは12個あるのですが、奥まったところにあるので上の写真では見えません。 花柱は6個で棍棒状、先端が2裂します。 その基部の外側に丸っこい柱頭があります。 萼筒の入口の、淡い黄白色の部分が口環です。 萼裂片の内面には、毛が密生しています。


カンアオイの花の側面  2011.03.20 狭山丘陵
 カンアオイの花の側面  2011.03.20 狭山丘陵


 萼筒は鐘形で、上部にくびれはなく、萼裂片の基部に横じわはありません。 萼裂片の外面・萼筒外面・花柄とも無毛です。 萼筒の内面には9〜12本の縦の隆起線があり、横方向の隆起線とともに格子状になりますが、外からは見えません。


カンアオイの花の各部の長さ  2008.02.11 狭山丘陵
 カンアオイの花の各部の長さ  2008.02.11 狭山丘陵 

 

 落ちていた花があったので、各部の寸法を測ってみました。 この花では、花柄は15mm、萼筒は8mm、萼裂片は9mmほどでした。 萼裂片はほとんど反り返っていない部分を測ったので、だいたい正しいと思います。 ただし、たった一つのサンプルですし、落ちてから時間が経っていれば萎縮している可能性もあります。 寸法はあくまでも参考値として下さい。

 

 2008年当時は、花を切断して萼筒内を観察するところまで気が回りませんでした。 今も生きている花は傷つけませんが、落ちている花があったらぜひ内部を観察してみたいところです。


2015.11.15 掲載

 

 

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コメント: 2
  • #1

    みすちる (火曜日, 24 11月 2015 13:06)

    木々の葉が落ちる季節になるとカンアオイの葉を捜して、花を覗きます。
    今シーズンはまだ会えていませんが、冬の楽しみですね。

  • #2

    HiroKenのKen (火曜日, 24 11月 2015 21:22)

    みすちるさん、こんばんは。
    花がなくなり、寂しい季節になりました。
    そんなときでもカンアオイの仲間には頑張って花を咲かせてくれるものがいます。
    地味な花の筆頭を飾るような花ですが、とても奥深いものがありますね。