ヒメハギ

 

姫萩 ヒメハギ科 ヒメハギ属

Polygala japonica

ヒメハギ (姫萩) ヒメハギ科 ヒメハギ属  2006.04.22 栃木県足利市
ヒメハギ (姫萩) ヒメハギ科 ヒメハギ属  2006.04.22 栃木県足利市

 

 大好きな花の一つです。 花の先端につくモシャモシャした

付属体がとてもかわいいです。 小さく、目立たない花です。

背丈は大きな株でも20cmほどでしょうか。 花期以外には、

見つけるのがなかなか難しいです。

 

2004.04.11 栃木県足利市
2004.04.11 栃木県足利市

 

 初めて見ることができたのは、栃木県足利市のダムの

湖畔であったと思います。 近くにはフデリンドウなど

も咲いていました。 日当たりのよい場所では、このよ

うに地面を這うように広がります。

 

2006.04.22 栃木県足利市
2006.04.22 栃木県足利市

 

 萼片は5個あります。 そのうち2個の側萼片は大きく、左右に

広がるのでまるで花弁のように見えます。 上の写真の中央の花

では、残りの3個の萼片は見えませんが、右の開花前の花に小さい

方の萼片が見えます。

 

 本当の花弁は3個で、基部では筒状に合着し、先端部では上2つ、

下1つに分かれます。 下側の花弁の先端に白っぽく、細裂した

付属体がつきます。 付属体の先端部は更に細かく2裂します

(3裂もある?)。

 

 この付属体にはどのような役目があるのでしょうか? おそら

く、虫をおびき寄せる広告塔の役割があるのだと、勝手に想像し

ています。 葯は黄色で、上の写真でもちょこんと見えています

がこれがかわいさのアクセントにもなっています。

 

 同じヒメハギ科ヒメハギ属のヒナノキンチャクカキノハグサ

とは、似ても似つかない形の花ですね。 でも花を構成している

「部品」は同じなのです。

 

2011.05.08 筑波山 山麓
2011.05.08 筑波山 山麓

 

 常緑の多年草です。 名の由来は、小さな紅紫色の花がマメ科の

萩に似ているからだそうです。 一日中日が当たるような場所が好

きなようですが、時間によりやや日影になるような場所では、上の

写真のように立ち上がる傾向があるようです。 少しでも多く日が

当たるように、茎を立ち上げるのかな?

 

2011.05.08 筑波山 山麓
2011.05.08 筑波山 山麓

 

 葉は互生します。 葉の縁はやや色がダークで、それが

葉の形をくっきり見せているように思えます。 茎には、

白っぽく短い細毛が密生します。 葉にも細毛があります。

特に縁の部分に多いように見えます。

 

2011.05.08 筑波山 山麓
2011.05.08 筑波山 山麓

 

 花弁先端の付属体は白色に近いことが多いですが、この

ように花弁と同系色の薄紅色がかっている個体もいました。

ヒメハギの花の長さは5〜7mmで、とても小さいです。

 

ケナシヒメハギ  2010.03.28 静岡県下田市
ケナシヒメハギ  2010.03.28 静岡県下田市

 

 北海道から九州まで、そして丘陵地帯から亜高山帯まで

分布するヒメハギですが、伊豆半島の先端付近の海岸で、

変わり者を見つけました。 まだ花は咲いていませんでし

たが、今まで見たことのあるヒメハギとは、どうも様子が

違うのです。

 

ケナシヒメハギ  2010.03.28 静岡県下田市
ケナシヒメハギ  2010.03.28 静岡県下田市


 よく見てみると、なんと茎や葉にまったく毛がないのです。

ヒメハギの茎には白っぽい細毛が密生し、このためマットな

感じに見えますが、ここのヒメハギは毛がまったく無いため

に、光沢がありました。

 後で調べてみると、ケナシヒメハギ(毛無姫萩)と名のあ

る、海岸型のヒメハギであるとわかりました。 珍しいヒメ

ハギを見ることができ、うれしかったです。

 

ヒメハギ

 

(解説は本文中に記したので省略します)

学名に japonica とありますが、日本だけでなく、朝鮮半島、中国、フィリピン諸島、インドシナ半島、ヒマラヤと、広範囲に分布するようです。

 

2011.05.28 掲載

 

コメント: 6 (ディスカッションは終了しました。)
  • #1

    かのん (土曜日, 28 5月 2011 23:06)

    いつもながら、図鑑顔負けの写真と説明!素晴らしいです。

    決して撮り易い花ではないのに、何十枚も撮った中の一枚なのでしょうね。

    いつも2~3枚適当に撮っている自分が、情けなくなります(笑)

  • #2

    hanasanpo (土曜日, 28 5月 2011 23:58)

    かのんさん、そこまでほめていただくと、うれしさを通り越して、照れくさくなってしまいます〜(^o^;)。
    でも、やる気テンションのメーターが、ビビ〜ン!と上がりました!

    >決して撮り易い花ではないのに...
    かのんさん、さすがわかってらっしゃる! ヒメハギって、けっこう難しいのです。
    私の場合、「下手な鉄砲、数打ってもやっぱり当たらない〜!」ことが多いのです。
    今回は、約160枚のピンボケ写真の中から、なんとかお見せできるものを、一晩
    かかって選び出しました。

    >いつも2〜3枚適当に撮っている自分が...
    2〜3枚適当に撮って、すばらしい写真が撮れてしまう方は、それでいいのです!

    こんなうれしいコメントをいただけたので、1ヶ月位はトップページを変えないでおこう! とも思ったのですが... 梅雨入りの雨の降る今日、花の神サマが微笑んでくれまして... ずっと見たかった花を偶然見つけることができたのです。その花を速報で報告するのも大事ですね。

    かのんさんのコメントだけ、トップページに残しておこうかなあ?(コラコラ!)

  • #3

    かのん (日曜日, 29 5月 2011 12:56)

    160枚!ですか?

    すごい・・・

    外付けハードディスクが必須ですね^^

    立ち姿、花のアップの他に、同定には花、柱頭、蕊、茎、葉、葉裏、萼他気の遠くなるような箇所の写真が必要なのですね。

    そんなご苦労を、いつも簡単に覗かせてもらって、感謝です^^

  • #4

    hanasanpo (日曜日, 29 5月 2011 19:44)

    ヒメハギの160枚は多い方ではありません。 同じ花でもそれぞれ個性があり、場所や時期による違いもあるので、撮ったことのある花でもまた撮りたくなってしまうのです。

    外付けハードディスクを購入しました! 2TB(テラバイト)を2台(1台はバックアップ用)。 ワンルームマンションから4LDKに引っ越した気分です。 しかしRAWデータの写真は1枚で20MBものサイズがあり10年前のデジカメのJPEGデータの十数倍です。その上、撮影条件を変えて連射したり、そもそも2人で好き勝手に撮っているので、遠からず手狭になってしまいそうです。

    かのんさんのコメントにはいつも励まされます。これからも見守ってくださいね!

  • #5

    hanasanpo (日曜日, 29 5月 2011 22:03)

    連射 → 連写 でした。

  • #6

    かのん (月曜日, 30 5月 2011 22:02)

    変換違い、全く気がつきませんでした^^

    連射のほうが、ガンガンシャッター押す感じが出てますね^^