イヌセンブリ

 

犬千振 リンドウ科 センブリ属

Swertia diluta var. tosaensis 絶滅危惧Ⅱ類(VU)

奥の間   

イヌセンブリ (犬千振) リンドウ科 センブリ属  2010.11.03 千葉県
イヌセンブリ (犬千振) リンドウ科 センブリ属  2010.11.03

 

とうとう「お犬様」イヌセンブリに出会えた!

今年なんとしても見たくて、あちらこちらに

探索に行ったが、見ることができなかった花。

半分は諦めていたが、追い求め続けた甲斐が

あった。

 

花弁に紫色の筋が入る。 中心付近から生える

もしゃもしゃした毛状の付属体が他のセンブリ

属より目立つ。 もしゃもしゃの下には蜜腺溝

があるはずだが... 残念ながらそこまで見える

写真は撮れなかった。

 

イヌセンブリ 2010.11.03 千葉県
2010.11.03 千葉県

 

他の背の高い植物に押しつぶされそうに

咲いていた。どうしても近づけない場所で、

上半身を90度近く前かがみにし、片手を

思いっきり伸ばしての撮影。ピンボケ写真を

大量生産した。背筋とふくらはぎが痛い。

 

イヌセンブリ 2010.11.03 千葉県
2010.11.03 千葉県

 

花の径は2cmを下回るように見えた。小さい。しかも

距離があるので、写真の画質が悪い。 ご容赦下さい。

開花初期のようで、これから数日が見頃になるのではと

思った。 12株ほど目視できた。 分け行って探せば

もっといるのかも知れないが、それは許されない。

千葉県では生育している場所は極めて限定されるようだ。

 

イヌセンブリ 2010.11.03 千葉県
2010.11.03 千葉県

 

初めて見ることができたので、今年の状態が良いか悪かは

わからない。 しかし猫の額のような小さな湿原にたった

これだけの数しかいないことを考えると、絶滅寸前である

ことを肌で感じた気がした。 絶滅などせず、なんとか

ずっと生き延びて欲しいと思った。

 

 

イヌセンブリ

       

低湿地に生える1年草または越年草。 苦味健胃薬に使われるセンブリに似るが苦味が少なく薬効もないので名前にイヌが付いた。 昔は役に立たないものは頭にイヌがつく名前になったようだ。 図鑑を見るとイヌアワ、イヌコウジュ、イヌゴマ、イヌタデなどなど、枚挙にいとまがない。 大昔から人間は犬を友とし、また番犬・狩猟・牧畜犬・癒しのペットとして利用してきたはず。 それなのに、役に立たないものをイヌとするのは、犬好きで戌年生まれの筆者としては、絶対納得できない!!

 

脱線してしまったが、草の高さは15〜50cm。今回見ることができたものは、30〜50cmほどに見えた。 根生葉は花期にはない。 茎葉は対生し下部のものには柄がある。花は枝先と葉腋に1個づつつく。 萼裂片は花冠裂片と同長かやや短い。 花冠は白色で淡紫色の縦脈があり、裂片は通常5個。 卵状披針形で先はとがり、長さ8〜10mm。 蜜腺溝のもしゃもしゃした毛状突起は縮れて長く、花冠裂片の半分に達する。 花期は9〜11月。

 

 

今年の花シーズンの終盤に、幸運にもお犬様(イヌセンブリ)を見る

ことができた。 これでセンブリムラサキセンブリシロバナムラ

サキセンブリハッポウタカネセンブリソナレセンブリ と見た

かったセンブリ属をほぼすべて見ることができた。 しかしあと一人

残っている。 お姫様(ヒメセンブリ)である。 こちらは高山に

しかいないので、簡単にはお目にかかれない。 来年の課題としよう。

 

2010.11.03 掲載

 

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コメント: 10 (ディスカッションは終了しました。)
  • #1

    かのん (木曜日, 04 11月 2010 11:41)

    ついにもしゃもしゃさんを見る事が出来たのですね。
    難所での撮影、お疲れ様でした^^
    沢山シャッターを押した甲斐があって、綺麗に撮れていますね。

    それにしても個体数が頼りない限りですね。
    逞しく生き残って欲しいです。

  • #2

    一期一会@兵庫 (木曜日, 04 11月 2010 13:55)

    立派なイヌセンブリですね。
    やはり清和の森に咲いているのでしょうか。清和の森で見たアワチドリやヤマユリは忘れられません。
    イヌセンブリの咲くマイフィールドの湿地は7月の大雨で自生地が長い間水に浸かっていました。ヤマラッキョウは沢山咲いているのに、探し探してやっと一株見つけられました。来年は元通りに咲いてくれる事が期待できそうです。

  • #3

    hanasanpo (木曜日, 04 11月 2010 21:23)

    かのんさん、こんばんは〜

    ありがとうございます。
    しつこく探し求めたおかげで、やっと見ることができて非情に嬉しかったです。
    自生できそうな場所の面積は非情に狭いので、周辺の土地を買収して湿原を拡大
    するなどの事業を行わないと、自然消滅してしまいそうです。
    自然を壊すだけ壊してこうなったのだから、少しでも復元するために何かをした
    方がよいと感じました。簡単ではないのでしょうが...

  • #4

    hanasanpo (木曜日, 04 11月 2010 21:29)

    一期一会さん、こんばんは〜

    場所は清和の森ではありません(清和の森にもいるのかも知れませんが)。
    アワチドリはまだ見たことがないので、来年はぜひ見てみたいものです。
    ヤマユリは、関西では珍しいのですか? 関東では季節になると比較的
    簡単に見ることができます。大きくて豪華な花ですね。香りもいいし。
    マイフィールドのイヌセンブリ、来年はぜひ大復活してほしいものですね!

  • #5

    あひる (金曜日, 05 11月 2010 10:03)

    おめでとうございます!
    探し求められた甲斐がありましたね\(^o^)/よかったです!

    イヌセンブリ、他のより、確かに真ん中もしゃもしゃして、素人の私でも区別つきました。
    ムラサキセンブリなど、他のセンブリとリンクつけて頂いてますので、比較出来て分かりやすいです。ありがとうございます。
    センブリと、ソナレセンブリですが、同じページの中のどれがどちらか、区別付かなかったです^_^;

    横入りすみません。
    山百合ですが、4年前くらいから、奈良・大阪・京都の低山をテクテクしていますが、山百合に出くわしたことがありません。
    出会った方の話もお聞きするのですが、行った山が少ないせいか、
    笹ユリには良く出会いますが、なかなか女王様には出会わないです。

  • #6

    hanasanpo (金曜日, 05 11月 2010 15:44)

    あひるさん、ありがとうございます! 探していた花に出会えた時は『いたああぁぁ〜!!』と叫んでしまうくらい嬉しいです。

    ソナレセンブリのリンクが誤ってセンブリに張られていました。 気を付けていたのですが、申し訳ございません。 このようなご指摘は大変助かります。 どうもありがとうございます。

    ヤマユリは、やはり関西には少ないのでしょうか。アルバムを探してみましたら、あまり多くは撮影していませんでした。比較的よく見ることができるからだと思います。 画像掲示板に、少し大きめの写真を貼ってみました。よろしかったらご覧下さい。 2001年、初めて買ったデジカメでいろいろ撮り始めたころの写真です。自分でも懐かしく眺めてしまいました。

    逆に、ササユリは見たことがありません! 関東地方には少ないようです。 ヒメサユリに少し似るとか? ぜひ見てみたい花の一つです。

  • #7

    あひる (土曜日, 06 11月 2010)

    画像掲示板拝見しました。
    ヤマユリアップありがとうございます。
    さすが、存在感抜群、きれいですね!
    意外と豪快で男性的な気がしました(^◇^)

  • #8

    hanasanpo (日曜日, 07 11月 2010 21:04)

    あひるさん、ヤマユリを見ていただきありがとうございます。
    美しさといい、大きさといい、存在感抜群の花ですね。

  • #9

    sahonokazeアユハ (木曜日, 28 8月 2014 17:27)

    センブリの花、こんなに種類が多いとは?!
    夢に見るほど会いたいし、栽培もしたいのですが…無理でしょうか?
    山百合は先日走った山間の村・甲賀に沢山咲いていましたよ。
    それからササ百合ですが、大神神社(桜井市の三輪神社)の裏山にあると
    聞いています。(未確認)
    こちら奈良の三枝祭りにはササ百合の生の花がお神輿になって飾られますが
    年々少なくなっていっていると聞いております。
    珍しいお花を有難うございます…。

  • #10

    hanasanpo (木曜日, 28 8月 2014 21:11)

    当サイト内に、植物の栽培に関する記述は一切ありません。
    今後も記載することはありません。
    栽培や売買目的の盗掘で自生地が失われたり、存続そのものが危ぶまれている植物があまりにも多いからです。
    環境の自然遷移や、開発など人間の活動により数を減らす植物は数多いですが、希少植物に最後のトドメを刺すのはきっと盗掘であろうと、勝手に思っています。

    ヤマユリ、ササユリの情報をありがとうございます。

 

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