アズマイチゲ

 

東一華 キンポウゲ科 イチリンソウ属

Anemone raddeana

アズマイチゲ 2013.03.10  東京都八王子市
 2013.03.10  東京都八王子市

 

 今年(2013年)もアズマイチゲが咲き出しました。 1週間前に訪れたときは影も形もなかったのに、一斉に咲き出していました。 春の訪れを告げるスプリング・エフェメラル(春植物)たちは、花が終わるといつの間にか地上部が枯れて姿が見えなくなりますが、咲き出すときは突然のように現れるのですね。 ちゃんと地面の中で咲き出す時期を見極めているのですね。

 

 3週続けて週末に訪れましたが、今年の冬は寒い日が多かったせいか、花も全体的に遅くなっているように感じます。 個人的な感想ですが、アズマイチゲやハナネコノメは数日から1週間、ヨゴレネコノメは10日以上遅い感じがします。 ヤマルリソウは花芽もつけておらず、コチャルメルソウは、花茎すら伸ばしていませんでした。 例年なら花を咲かせている時期なのにね。

 

 さて、過去の写真も交えてアズマイチゲのお話を。

 

アズマイチゲ 2010.03.13  東京都八王子市
 2010.03.13  東京都八王子市

 

「やっと春が来た!」と雪解けを待ちかねたように咲く。

「やっと春が来たね!」と語りかけたくなる。

雪解けの頃に咲く、というのは本当ですね。 名の「東」

は関東を指すそうです。

 

アズマイチゲ 2010.03.13  東京都八王子市
 2010.03.13  東京都八王子市

 

 高さ15〜20cmほど。 白い花弁状に見えるものは、

実は萼片です。 アズマイチゲに花弁はありません。

 

 茎葉は3個輪生し、3出複葉。 小葉は先端ににあま

りとがらない鋸歯があり、だらんと垂れ下がるように

なります。 多少の変異はありますが、葉が深く切れ

込むことはありません。 葉の形状は、よく似たキク

ザキイチゲとの重要な識別点になります。

 

アズマイチゲ 2010.03.13  東京都八王子市
 2010.03.13  東京都八王子市

 

逆光で見ても美しい。 花糸の根元付近が紫色に

なっているのもキクザキイチゲとの識別点です。

 

アズマイチゲ 2013.03.10  東京都八王子市
 2013.03.10  東京都八王子市

 

落葉樹林内や林縁、草地に生える多年草です。 花の直径は

3〜4cmほど。 図鑑には萼片の数は8〜13個とありますが、

もっと多い花も珍しくありません。 上の写真の花の萼片は

16個でした。

 

 

花柄は無毛のことが多いそうですが、ここの個体は有毛でした。

花柄の毛の有無はキクザキイチゲとの識別ポイントにはならな

いようですね。 花柄が多毛なものをオクアズマイチゲとして

区別する場合があるそうです。 果たしてこの個体はどうなの

でしょう?

 

アズマイチゲ  2012.03.20  東京都八王子市(上の6枚とは違う場所)
 2012.03.20  東京都八王子市(上の6枚とは違う場所)
アズマイチゲ 2012.03.20  東京都八王子市(上の6枚とは違う場所)
  2012.03.20  東京都八王子市

 

 上の2枚の写真の個体は小葉の切れ込みが多く「キクザキイチ

ゲも?」と思いましたが、花糸の根元が紫色であったのと、葉が

だらりと垂れ下がっているので、やはりアズマイチゲですね。

 

アズマイチゲ 2010.03.13  東京都八王子市
 2010.03.13  東京都八王子市

 

 逆にこちらは小葉の鋸歯がなく、のぺっとした

感じです。 いろいろ変異があるのですね。

花期は3〜5月。 ちょうど今がシーズンですね。

 

 

2013.03.12 掲載

キクザキイチゲのページへ
 キクザキイチゲのページへ