ホクリクムヨウラン

 

北陸無葉蘭 ラン科 ムヨウラン属

Lecanorchis hokurikuensis

#1 ホクリクムヨウラン  2014.06.14 新潟県妙高市 alt=70m
#1 ホクリクムヨウラン  2014.06.14 新潟県妙高市 alt=70m

 

 葉緑素を持たない、菌従属栄養植物です。 光合成を行わず、

菌根菌に寄生し、養分を略奪して生きています。 落ち葉の積

もった、やや湿り気のある場所に生えていました。 全体的に

薄い褐色のような色合いで、目立ちません。

 

 ムヨウランの変種(*1)とする見解もあります。 ここでは

独立種として扱っています。

 

#2 ホクリクムヨウラン  花はほとんど開かない
#2 ホクリクムヨウラン  花はほとんど開かない

 

 高さは20~40cm、常緑広葉樹林下に生えます。 北陸地方から

東北地方南部に分布しします。 花期は5〜6月とする説や6〜7月

とする説があります。 花が少ないのであまり観察されていないの

かも知れません。


 花はわずかに半開した状態で終わることが多く、完全に開花した

状態はなかなか見ることができないようです。 これは蕾の状態で

花粉が成熟し、自家受粉が完了していることと関係がありそうです。

 

#3 ホクリクムヨウラン  花被はやや紫色を帯びていた
#3 ホクリクムヨウラン  花被はやや紫色を帯びていた

 

 開いている花が多い株でも、この程度。 半開にも満た

ない感じでした。 花は横〜やや下向きに咲いていました。

花被は、ごく淡い紫色を帯びています。

 

 無葉蘭属の名のとおり、普通の葉はありません。 茎に退

化した鱗片状の葉があります。

 

#4 ホクリクムヨウランの花
#4 ホクリクムヨウランの花

 

 唇弁には黄色い毛が生えていました。 この花では萼片などに多数の小突起がありました。 花柄子房や花被片の小突起は、ムヨウランとの識別ポイントであるとする説があります。 一方、小突起は昆虫の食痕が成長とともに大きくなったものであり、人為的に針で傷をつけても同様な突起になることから、種の識別の決め手にはならないとする説もあるようです。

 

#5 ホクリクムヨウランの唇弁には黄色い毛が密生していた
#5 唇弁には黄色い毛が密生していた


 なかなか撮影が難しい花でした。 唇弁の

毛が明瞭にわかるのはこの写真のみでした。

花は少し古くなってしまっていました。


#6 ホクリクムヨウランの花柄子房は180°のねじれがあった
#6 花柄子房は180°のねじれがあった

 

 花柄子房には明確な「ねじれ」が観察できました。 ホクリクムヨウランは花柄子房を180度ねじらせて唇弁を下方につける、標準タイプのランです。 これを見て、ムヨウランのページに訂正をかけました。 ムヨウランはねじれが見られなかったのですが、それは蕾の状態の観察であったのです。 これは適切ではありませんでした。 ホクリクムヨウランが標準タイプであるなら、近縁種のムヨウランも同じである可能性が高いですが、証拠写真がないので「保留」としました。 

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#7 ホクリクムヨウランの副萼の下の膨らみはない。 花柄子房には微突起が認められた
#7 副萼の下の膨らみはない。 花柄子房には微突起が認められた

 

 #7は#6の一部を拡大したものです。 花柄子房と萼片の接合部には副萼と呼ばれる部分があります。 このすぐ下の部分(花柄子房の最上部)が膨らむ/膨らまない ことが、種の識別点の一つです。 ホクリクムヨウランは、膨らみません。

 

 また、花柄子房には微突起がありましたが、これについてはほとんど見えない個体もありました。 花柄子房の微突起は、種の識別に使える安定した形質とは言えないようです。

 

 副萼の下が膨らまない種としては、本種の他にムヨウラン、キイムヨウランなどがあります。 膨らむ種としては、ウスキムヨウランエンシュウムヨウランなどがあります。

 

 副萼の下が膨れる例として、エンシュウムヨウランの画像を#8に示しました。

 

#8 エンシュウムヨウランは、副萼の下が膨れる
#8 エンシュウムヨウランは、副萼の下が膨れる

 

(*1)Lecanorchis japonica Blume var. hokurikuensis (Masam.) T.Hashim.

 

2014.11.09 掲載

2017.10.10 加筆・画像追加

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