ムギラン

 

麦蘭 ラン科 マメヅタラン属

Bulbophyllum inconspicuum Maxim.

準絶滅危惧  ( Near Threatened )

#1 ムギランの花  長さ3〜3.5mmの小ささ。 側花弁の縁には白毛が生えます  2015.06.02
#1 ムギランの花  長さ3〜3.5mmの小ささ。 側花弁の縁には白毛が生えます  2015.06.02
#2 ムギランの蕾  2015.05.31
#2 ムギランの蕾  2015.05.31

 

 いきなり花友さん撮影の写真で始まりましたが、私たちは#2の、開花直前の花しか見ることができませんでした。 2日後に、同じ花を愛知県の花友さんに撮影していただいたのが#1です。 わずか2日間で開花し、そして既に少し終わりかけている雰囲気です。 どうやらムギランの花の寿命は、とても短いようです。 花の観察にベストな期間は、一日も続かないのかも知れません。

 

#4 ムギランの花  とても小さい!  2015.06.02
#4 ムギランの花  とても小さい!  2015.06.02
#4 ムギランの蕾  開花直前の蕾は、透明感がありました。  2015.05..31
#4 ムギランの蕾  開花直前の蕾は、透明感がありました。  2015.05..31

 

 #3・#4は、#1・#2と同様に、同じ場所・時間に撮影したものです(#3と#4は別の花です)。 ムギランは開花しても半開状で、すぐに閉じて結実するそうです(*1)。 もし見頃の状態の花に出逢えたら、かなり運がよいと言えるでしょう。

 

#5 ムギランの各部の説明
#5 ムギランの各部の説明

 

 ムギランは、常緑樹林内の木の幹や岩に着生する、常緑の多年草です。 湿度の高い場所に生育します。 #5はムギランの各部の説明です。

 

①根茎(匍匐茎)は細くて硬く、横に這い、節ごとに根を出します(②)。 根茎は

 着生している岩に密着せず、少し浮いているように見えました。 根が立ち上がり

 根茎を浮かせているようにも見えました。

 

③根茎の根を出した部分に、偽球茎をつけます。 偽球茎の高さは、5〜8mm。 

 偽球茎は卵形で、表面はしわがよっています。

 

④葉は偽球茎の先端に、葉を1個つけます。 葉は卵形で長さ1〜3cm、幅6〜8mm、

 肉厚でやや硬い。 中央縦方向に筋が入っており(主脈なのか?)、これに沿って

 少しだけ谷型に折れたようになっている葉もありました。

 

⑤葉は古くなると基部で折れて落ちますが、偽球茎はその後数年間は残り、水や養分

 を蓄える役割を果たすそうです。 株の古い部分には、葉を落とした偽球茎が並ぶ

 ことになり、その様子を麦粒に見立てたことが、麦蘭の名の由来だそうです。

 実は、葉の形と、縦に筋が入ることから、葉が麦の実に似ていることが名の由来で

 あろうと勝手に思っていたのですが、違いました。

 

⑥ここでは垂直に近い岩に、苔、地衣類、そしてマメヅタと混生していました。

 マメヅタは遠目では紛らわしいですが、近くに寄れば簡単に区別できました。

 マメヅタの葉はムギランより大きく、円形に近く、色はより明るい緑色で、扁平で

 す。 さらにはムギランの葉にある、縦に走る筋もないので、見分けるのは容易で

 した。

 

#6 ムギランの花茎は偽球茎の基部から出る
#6 ムギランの花茎は偽球茎の基部から出る

 

 花茎は偽球茎の基部から出て、黄白色の花をつけます。 よい写真が撮れなかったのですが、#6に示しました。 花の数については、図鑑により記述が異なりました。

 ・花を1個つける(*1)

 ・1−3個の花をつける(*2)

 ・ふつう1個つける(*3)

 私たちは、花1個と2個をつけている状態を観察できました(#6は2個)。

 

#7 ムギランの偽球茎と葉の境界部
#7 ムギランの偽球茎と葉の境界部

 

 前述のように、偽球茎の表面にはしわがあります。 また先端につく葉との境界部(矢印部)は明瞭で、古くなった葉はここから脱落します。

 

#8 ムギランの葉
#8 ムギランの葉

 

 #5 ④の説明で、葉が縦の筋に沿って、少し折れたようになっている場合があると書きました。 よく観察すると、どうも葉は折りたたまれた形で新芽を出すので、若い葉はみなそのようになっているようです(矢印部)。 その後葉の成長とともに平開し、さらには反り返るようになるのでしょう。

 

#9 ムギランが生育する様子
#9 ムギランが生育する様子

 

 最後になりましたが、ムギランの自生する様子です。 赤い円内は、#2と#4の花があります。 小さく、目立ちませんね! 小種名の inconspucuum は、「目立たない」という意味で、花が葉に隠れるように咲くことから名付けられたそうですが(*2)、納得できます。

 

 この場所は環境が変わってしまい、かなり数を減らしてしまっているとのことです。 なんとかまた復活してほしいものです。

 

 

< 引用・参考文献、及び外部サイト >

 

*1 山渓ハンディ図鑑2 山に咲く花 増補改訂新板

   http://www.yamakei.co.jp/products/2811070210.html

   山と渓谷社 2013年3月30日 初版第1刷 p.95

 

*2 日本のラン ハンドブック ①低地・低山編

   http://www.bun-ichi.co.jp//tabid/57/pdid/978-4-8299-8117-7/catid/1/Default.aspx

   文一総合出版 2015年5月1日 初版第1刷 p.90

   http://www.bun-ichi.co.jp/

 

*3 日本の野生植物 草本 1 単子葉類

   平凡社 1982年1月20日 初版第1刷 p.231 

 

*4 ウィキペディア

   ムギラン

   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%82%AE%E3%83%A9%E3%83%B3

  

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2017.05.21 掲載

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