花さんぽ 2007-16-2                         ←前へ  下へ▼  次へ→

 

 6月3日(日)   初夏の秘密の花園 (新潟県)    2/2


 
エビネの興奮が覚めやらぬ間に、なんと、サイハイランまで発見! この花も見たかったんだよな~! いったい今日はどうなっているんだ? この花園はなんとスゴイんだ、ミスミソウの大群生だけじゃなかったんだ! この花もすこ~し時期が過ぎていましたが、サイハイランサイハイラン いや~感激! 盗掘を恐れ、ササの葉で隠しました。

(サイハイランはこの後の数年間であちこちで見ることができ、案外身近な花だとわかりました。 初めて見ることができたこの時は、大感激でした)

 

 サイハイラン (采配蘭)
 サイハイラン (采配蘭)

 

 花の穂を、戦国時代の大将が戦の時に指図に使った采配

(さいはい)に見立てて采配蘭の名が付いたそうです。

 

サイハイラン
 サイハイラン

 

 ここはラン菌が多いのでしょうか、この後に、キンランまで発見したのです。 しかし、ここで大失敗を犯しました。 キンランにからんだツル性植物を取り除こうとして、誤ってキンランの花を断ち切ってしまったのです。 たった1株、2つだけ咲いていた花を、断首するように落としてしまった。

 

 この地で、最後のキンランであったかも知れないに...。 「被写体には絶対触れない」を信条としてきたのに... あー本当にうかつでした。 希少種のランに続け様に出会えて、気持ちが浮かれていたのでしょう。 厳しい環境で生き延びて来たキンランに、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

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 セイヨウミヤコグサ  秘密の花園近くの海岸にて  2007.06.03
 セイヨウミヤコグサ  秘密の花園近くの海岸にて  2007.06.03
 セイヨウミヤコグサ  ヨーロッパ原産の帰化植物
 セイヨウミヤコグサ  ヨーロッパ原産の帰化植物

 

帰化植物について


 この原稿を執筆している2011年12月現在、当サイトには日本原産の植物以外はほとんど掲載されていません。 前ページに掲載したイモカタバミも、すぐ上セイヨウミヤコグサも、オリジナルレポートには掲載しませんでした。

 

 国産種にこだわり、外国産で日本に帰化した植物は、ずっと観察・掲載の対象外としてきたのです。 極端に言えば、国産種にのみに価値があり、帰化植物は意図して・意図せずして日本にやって来たにも関わらず、好ましくない邪魔者であり、価値がないものとして扱ってきました。

 

 しかし最近その考えが変わってきました。 現在の日本では、高山や管理の行き届いた原生林など非常に限定された地域以外で、帰化植物を見ない場所はありません。 その由来はともかく、またその問題点も別として、彼らが日本の自然環境の一部となっているのは、歴然たる事実なのです。

 

 本サイトの目的は「野山に自然に咲く花を紹介する」ことです。 日本の自然に溶け込みその一部となりつつある帰化植物を、あたかも存在しないかのごとく黙殺し続けることが、果たして目的に合っていると言えるのか? 少し長く考えましたが、この自問自答に対して出した答えは、「ノー」です。

 

 「自分の子孫をできるだけ広範囲にたくさん残す」、これが植物の唯一無二の生きる目的です。 植物たちはこの目的を達成するために、気の遠くなる年月をかけて進化してきました。 日本に渡来した経緯はともかく、帰化植物たちが懸命に生き繁栄しようとする姿は、国産種となんら変わるものではありません。 このように考え、一過性ではなく、日本に根を下ろし定着することに成功したと思える植物たちに関しては、今後は機会をみて観察・紹介していこうと思います。

 

 もちろん国産種と同列に扱いますよという訳ではありません。 帰化植物が既存の植物相に悪影響を及ぼしたり、国産種を駆逐し絶滅に追いやることも少なくありません。 そのような問題も含めて今の日本の自然があるなら、目をそらさずに見つめていこうかな、と思います。


 

セイヨウミヤコグサ
 セイヨウミヤコグサ

 

 横道にそれてしまいましたが、海岸にはセイヨウミヤコグサが群生していました。 国産種のミヤコグサにとてもよく似ています。 茎や萼片に毛が生えていたので、セイヨウミヤコグサとわかりました。 黄色くかわいい花を多数つけます。 砂浜に広範囲に繁殖しており、定着していると思えました。

 

 

 

弥彦山から日本海を望む。 遠く佐渡ヶ島の影も見える。
弥彦山から日本海を望む。 遠く佐渡ヶ島の影も見える。

 

        出会えた花たち(五十音順)

No. 和名 漢字表記 科カ名
1   イモカタバミ 芋片喰 カタバミ
2   エビネ 海老根 ラン
3   エンレイソウの果実 延齢草 シュロソウ
4   オドリコソウ 踊子草 シソ
5   カタクリの果実 片栗 ユリ
6   キクバオウレンの果実 菊葉 キンポウゲ
7   キュウリグサ 胡瓜草 ムラサキ
8   キンラン 金蘭 ラン
9   ケキツネノボタン 毛狐の牡丹 キンポウゲ
10   コナスビ 小茄子 サクラソウ
11 サイハイラン 采配蘭 ラン
12   セイヨウミヤコグサ 西洋都草 マメ

 

 

 オリジナルレポート表紙
 オリジナルレポート表紙

 

2012.01.03 掲載

 

 
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コメント: 2 (ディスカッションは終了しました。)
  • #1

    花好きhi (金曜日, 28 8月 2020 19:02)

    こんにちは。エビネが見られたとはすごいことですね。花が見れなかったのは残念でしたね・・・
    キンランも残念ですね。ですが、助けようとしたけっかですから、悪くはないと思いますよ。
    サイハイランもきれいですね。ちょっと地味ですけど、かわいい気がします。
    セイヨウミヤコグサの黄色がすきになりました。外来植物でも悪いわけじゃないですしね。カタクリの果実の形状がおもしろいですね。ヤマユリの果実はピーマンみたいですが、似ていますね。
    この花園、見つけていけたらいいなと思っています。ありがとうございました。

  • #2

    Ken (日曜日, 06 9月 2020 11:16)

    2007年当時はまだ花さんぽを始めたばかりで、エビネ、キンラン、サイハイランなどを見つけただけで大感激でした。