HOME > 花さんぽ > 花さんぽ2008>No.22 7月26日        ←前へ  下へ▼  次へ→

 

 7月26日     伝説 箱島不動尊 湧水の怪

 

 野反湖に行く時は関越自動車道渋川伊香保インターを下りて、県道35号を使い群馬原町に向かうのが常です。 その途中に箱島不動尊湧水があります。 名水百選にも選ばれているらしい。 今回、初めて寄ってみることにしました。 県道から狭い脇道に入り、数分走ると入口を示す標識がありました。 車が入れるのはここまでらしいので、歩き始めます。 周辺はまったく観光化されてなく、静寂に包まれています。

 

 

 渋川方面から県道35号線を来た場合、ここで左折します。 「箱島湧水」の案内表示があります。 上のストリートビューは、矢印をクリックすれば移動できますし、好きな方向を見ることもできます。 でもストリートビューで湧水の入口までは行けません。 右上の✕印をクリックすると地図表示に切り替わります。 南の方に「∴ 箱島湧水」と示された場所があります。

 

湧水への入口(直進)
 湧水への入口(直進)

 車で山間の上り坂を数分行くと、この入り口に着きます。 直進すれば湧水に行けますが、車止めがあり小さな車でないとUターンが大変そうです。 右折し坂を登るとすぐ駐車場があるのでここに停めるべきでしょう。

 

しばらく行くと開けた場所に出る
 しばらく行くと開けた場所に出る

 200mほど林道を歩くと、広けた場所に出ます。 案内板を見るとここは1910年に造られた国内初のロックフィル式ダムで、水力発電を行なっていたそうです。

 


日本初のロックフィル式ダム
 日本初のロックフィル式ダム

 ダムはこの地に初めて電気を供給したとあります。 右の窪地はかつてのダム湖なのでしょう。奥に滝が見えます。 Hiroがダムの上を渡ろうとしています。

 

ダムの上から下流側を見下す
 ダムの上から下流側を見下す

 ダムの放水口です。 とても小さなダムですが、約百年前に造られたと知って驚きました。 現在は近代遺跡として保存されています。

 



 

 小さなダム湖に水は溜まっていませんが、進むに連れ滝のドウドウとした音が大きくなって来ます(左上)。 水量は少なくありません。 この川の水をせき止めて、ダムにしたのでしょう。 湧水はどこに? かつてのダム湖を時計方向に回り込むように進むと、東屋のようなものと杉の巨木が見えて来ました。 階段も見えます(右上)。 滝の上にかかった橋を渡り、向こう側に渡れそうです。 周辺は深い森。 滝の音が響き渡ります。

 

 滝をまたぐ橋の上に来ました。 山側を見ると...アレアレ? 沢にはほとんど水が流れていません! ではこの水は、どこから来るのか? 右に視線を移すと

 

 水の流れを追うと... なんと水は10mほど先にある杉の巨木の根元の地面から湧き出ていたのです!


 

 滝を作り流れ落ちる水が湧水だったんだ! なんという水量でしょう! 湧水といえば「チョロチョロ」か「コンコン」湧くイメージしかなかったのですが、ここでは「ドバドバ」湧き出て来るのです。 後で調べたら、なんと毎秒400リットルもの湧出量とわかりました。 湧水のイメージが完全に覆されてしまった!

 

 さて、タイトルの『湧水の怪』は、杉の木の下から湧水が出ているから、付けたのではありません。 それだけでは『怪』ではありませんよね。 ではどういうことかというと、答えは下の案内板に書いてある「伝説」にあります。

 

湧水近くの案内板
 湧水近くの案内板

 

 写真をクリックして拡大して読んで下さい... なーんて不親切なことは申しません。丸ごと下に書き写しました。

 

 箱島不動尊

湧水の怪


 この不動堂の歴史は古く、文治四年(1188年)に創建されました。 この不動尊のご神木の根元から滝を形成する程の水量を誇る「湧水」があります。 この湧水には昔から伝わる不思議な伝説が伝えられています。 その伝説とは...

 昔、原町の善導寺に第二世「円光上人」という人がいました。 そこへ怨敵に追われた木部宮内少輔の「北の方」(円光の母)が突然訪れ、よもやま話をしていましたが円光は母が追われている身と知らず翌日何気なく別れを告げたがそれが最後の別れで、母は息子に会え、思い残すことはなく、榛名湖へ向かい侍女とともに入水して果ててしまいました。

 その後榛名湖には大蛇が棲むという話が取り沙汰され、その大蛇は、北の方の化身だと思われていました。 そこで、供養の為、北の方の位牌を榛名湖へ納めました。ところが、その位牌が、何とこの不動尊の湧水の処から出たといいます。 そしてこの位牌は現在もなお不動堂に納められています。

 

 この伝説が事實に基づくものならば、湧水は地下水脈で榛名湖とつながっているという事になりますね。 なんだか納得できる伝説です。 日量3万トンもの湧水量は、単に山に染み込んだ雨水が湧き出しているとは考えにくいと思うのです。 もし地下水脈が榛名湖とつながっているなら、豊富な水量も納得できます。 但しここと榛名湖は地図上で直線距離で約8Kmあります。 長いと言えば長い。しかし地球規模で見れば、すぐそばですよね。 「怪」ではなかった。

 

湧水にしては、すごい水量でしょう?
 湧水にしては、すごい水量でしょう?
テバコモミジガサ
 テバコモミジガサ

 

 ここでは特に花は見つからず... テバコモミジガサはいました。 その他はハエドクソウや終わったリュウノヒゲなど... 写真は省略します。 でも、なかなか面白い場所でした。 近くを通りがかった方は、散歩がてらに寄ってみてはいかがでしょう?

 

オリジナルレポート表紙
 オリジナルレポート表紙

 

2015.03.21 掲載

( 当時のレポートを基に作成し直しました )

 

コメント: 2 (ディスカッションは終了しました。)
  • #1

    みっちゃん (日曜日, 22 3月 2015 15:03)

    三島の柿田川湧水は1日100万トンだとか。
    さすがに根拠はないらしいがアジアで1番と豪語しているとか。

  • #2

    hanasanpo (日曜日, 22 3月 2015 22:23)

    柿田川湧水、行ったことあります!
    湧き出ている場所を見なかったので湧水であるという実感が
    湧かないですが、柿田川を見ると日量100万トンと聞いて
    「それくらいあるかも」と思えてきます。