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 8月9日         日光白根山         p.2/2

多くの花が咲き乱れる
 多くの花が咲き乱れる
オクヤマオトギリ (奥山弟切) オトギリソウ科
 オクヤマオトギリ (奥山弟切) オトギリソウ科
オクヤマオトギリ
 オクヤマオトギリ

 

 オトギリソウの仲間も識別が難しい種類の花です。 茎が多数叢生(そうせい)しているので、オクヤマオトギリとしました。 この花も初対面! 葉は狭長楕円形で長さ約3cm、黒点のみがあります。 花弁は大きくゆがんだ倒卵形で約9㎜。 萼片には黒線と黒点があります。

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コバノイチヤクソウ (小葉の一薬草) ツツジ科
 コバノイチヤクソウ (小葉の一薬草) ツツジ科
コバノイチヤクソウ
 コバノイチヤクソウ

 

 コバノイチヤクソウも咲いていました。

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ケゴンアカバナ (華厳赤花) アカバナ科
 ケゴンアカバナ (華厳赤花) アカバナ科

 ケゴンアカバナの柱頭は球状。 花はイワアカバナにとてもよく似ています。識別のポイントは茎に生える毛。 ケゴンアカバナは茎の2列の稜線上に毛が生えます。 対してイワアカバナは茎全体に毛が生えます。

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シラネニンジン (白根人参) セリ科
 シラネニンジン (白根人参) セリ科

 シラネニンジンの名の由来は、この日光白根山で初めて採集されたことによります。 葉は下部に集まりこの写真ではよく見えませんね。 5個の花弁は強く内側に湾曲します。 亜高山〜高山帯の草地や湿地に生える多年草です。

 


ミヤマアキノキリンソウ (深山秋の麒麟草) キク科
ミヤマアキノキリンソウ (深山秋の麒麟草) キク科

 ミヤマアキノキリンソウは、アキノキリンソウの高山型亜種です。 アキノキリンソウの花序は縦に伸び、ややまばらにつく傾向がありますが、本種は茎頂部にまとまってつきます。

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ハクサンフウロ (白山風露) フウロソウ科
 ハクサンフウロ (白山風露) フウロソウ科

 ハクサンフウロは、亜高山から高山帯の草原に生育する多年草。 野反湖でもよく見れる花です。色の濃さの変異が大きい。 この花は雄しべが熟した後に雌しべの柱頭が開く、雄性先熟です。

 


ギンリョウソウ (銀竜草) ツツジ科 果実
 ギンリョウソウ (銀竜草) ツツジ科 果実

 ギンリョウソウは液果になって、「目玉おやじ」になっていました。

 

イブキジャコウソウ (伊吹麝香草) シソ科
 イブキジャコウソウ (伊吹麝香草) シソ科

 イブキジャコウソウは植物学的には、草本ではなく木本だそうです。 とてもそうには見えないのですが... 残念ながら、この花も植栽されたもの。 早く自生しているものを見てみたいものです。

 


 花を観察し、撮影をしながら歩いていると、あっと言う間に時間が経ってしまいます。 気が付くと正午を大分回っていました。 林の間から見上げる白根山山頂は、まだ遥か彼方です。「あの山の頂き付近に、トウヤクリンドウがいるんだよねぇ... よし! そろそろ帰ろうか」(はあ〜?) 花散歩をしていると、こんなことは珍しくありません。 麓でたくさん花に出逢うと、時間配分も忘れて写真を撮ってしまうので、目的地にたどり着けないのです。 でも登山が目的ではないから、まったく後悔しません。(ちっとは反省しろ!)

 

 というワケで、今回は山麓の散策路を巡っただけで、下山と相成りました。 山頂の様子やトウヤクリンドウのレポートを期待した方がいらっしゃいましたら、申し訳ないですネ。 帰路は同じ道を戻らず、湯ノ湖、戦場ヶ原などに寄り道しながら帰りました。

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戦場ヶ原  右手方向に日光白根山が見える 手前にはホザキシモツケの群落が
 戦場ヶ原  右手方向に日光白根山が見える 手前にはホザキシモツケの群落が
ホザキシモツケ (穂咲下野) バラ科
 ホザキシモツケ (穂咲下野) バラ科
ホザキシモツケ
 ホザキシモツケ
ホザキシモツケ
 ホザキシモツケ

 

 ホザキシモツケは、バラ科シモツケ属の落葉低木です。 山と渓谷社の「レッドデータプランツ」に、戦場ヶ原は乾燥化が進んでいるが、この花は逆に増えているように見える、とありました。 湿地から陸地に移行途中のような環境が好きなようです。 そう知ると、以前より増えていた気もします。 かつては環境省が絶滅危惧Ⅱ類に指定していましたが、2007年の見直し板レッドリストからは、対象から外れました。 それは数が増えたということですから、よいことだと思います。

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キツリフネ (黄釣船) ツリフネソウ科
 キツリフネ (黄釣船) ツリフネソウ科
キツリフネ
 キツリフネ

 

 キツリフネやツリフネソウはどこでも見られるので写真も撮ることが少なかったのですが、2009年10月に渡良瀬遊水地で、2005年に新種として報告されたワタラセツリフネソウを見てから、興味を持つようになったのです。 今後は各地で形態の違いの有無を観察したいと思います。 新種が見つかるかも?

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クサレダマ (草連玉) サクラソウ科
 クサレダマ (草連玉) サクラソウ科
クサレダマ
 クサレダマ

 

 クサレダマは、5日前に入笠山で初対面を果たした花です。 しつこいですが、「腐れ玉」ではない。「草・連玉」です。  別名イオウソウ。 美しい黄色い花が、湿地に彩りを与えていました。 オカトラノオや、ハマボッスと同じオカトラノオ属です。

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トモエソウ (巴草) オトギリソウ科
 トモエソウ (巴草) オトギリソウ科
トモエソウ
 トモエソウ

 

 トモエソウは初対面だったのに、遠い! 木道から10数メートル奥に咲いていました。 高さは1mほど。 今まで見たオトギリソウ科の中では文句なしに最大です。「巴」とは卍のような形をした渦巻き模様。 花がねじれてそう見えるといいます。そう見えなくもないですが、なにせ遠い。

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イヌゴマ (犬胡麻) シソ科
 イヌゴマ (犬胡麻) シソ科

 高さ40cm~70cmになる多年草です。湿った草地などに生育します。果実が食用の胡麻に似ているが食用にはならないので「否(いな)」胡麻が訛ってイヌゴマとなった、とする説があります。


ハクサンシャジン (白山沙参) キキョウ科
 ハクサンシャジン (白山沙参) キキョウ科

 この花も初対面。広い駐車場の出入り口付近にいました。 ツリガネニンジンの高山型。 そっくりですが、ツリガネニンジンよりも大型で広鐘状の花が密につきます。



 当初の目的のトウヤクリンドウは見ることができませんでしたが、日光白根山や周辺の花々を堪能することができた一日でした。


オリジナルレポート表紙
 オリジナルレポート表紙

 

2015.05.09 掲載

( 当時のレポートを基に作成し直しました )

 

 

コメント: 2 (ディスカッションは終了しました。)
  • #1

    みっちゃん (月曜日, 11 5月 2015 14:54)

    いつも楽しく拝見しています。
    花を訪ねて幾千里という感じですね。
    3日前浅間山溶岩流鬼押出しを散策してきました。
    イワウチワが一株咲いていました。
    木の花では「ヒカゲツツヂ」が丁度見頃でした。
    あとはオオガメの木の花が咲いていました。
    これから高山性の山野草が咲き始めます。

  • #2

    HiroKen (月曜日, 11 5月 2015 18:30)

    みっちゃんさん、いつもご訪問をありがとうございます。
    2008年当時は、日帰り〜1泊程度の花散策でも多くのお初の花に出会え、
    楽しくてしかたない感じでした。

    鬼押出しはもう何十年も行っていませんが、溶岩だらけの土地にも
    いろいろな植物がいるのですね。植物の、子孫をできるだけ広範囲に広げよう
    という能力は、本当にすごいですね。
    ヒカゲツツジは深山で遠目にしか見たことがありませんが、鬼押出しにはいるのですね。
    高いお山の花々もこれからが楽しみですね。

 
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