ネジバナの奥の間

 

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最終更新日:2015年7月19日

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都市に咲くネジバナ 後方に多摩モノレールが走る 2015.06.27 東京都多摩市
 都市に咲くネジバナ 後方に多摩モノレールが走る 2015.06.27 東京都多摩市


 車通勤の途中で、交通量が多い片側2車線の道路を通ります。 途中の区間には広い中央分離帯があり、芝が植えられています。 3年前、信号待ちで停車中の車内から何気なく車外を見ると、芝の中に多数のネジバナが咲いているのが見えました。 『これは「都市に咲くネジバナ」というタイトルの写真が撮れるゾ』と思いました。


 しかし一昨年は天候が優れず諦め、昨年は「今年こそは!」と思ったのですが、なんとキレイに草刈りされてしまい、涙を飲みました。 そして今年(2015年)にようやくこの写真を撮ることができたのです。 背景にモノレールを入れて「都市感」を演出したかったので、時刻表を調べて撮影しました。


都市に咲くネジバナ
 都市に咲くネジバナ


 数年前に見たときよりは数が減っているように見えましたが、それでも細長い中央分離帯には、何百本は咲いていただろうと思います。


ネジバナ ねじれが少ないタイプ
 ねじれが少ないタイプ


 植物の生きる目的は、ただ一つ。 できるだけ広範囲に、できるだけ多くの子孫を残すことです。 そのためにラン科の植物は、多種多様な進化を遂げています。 光合成を止めて菌類から栄養を略奪して生きたり、ライバルの少ない樹上だけに生育する種もいます。  進化の過程で、あらゆる可能性を試しているかのように見えます。


ネジバナの花序がねじれる方向は左右両方あり、出現率はほぼ等しいそうです。
 花序がねじれる方向は左右両方あり、出現率はほぼ等しいそうです。


 しかしそのどれもが、大成功を収めているとは言いがたい。 草原や山肌をラン科の植物が覆い尽くす、なんて話は聞いたことがありません。 大成功どころか、多くのラン科の植物は、環境の遷移や、人間の活動や採集の圧力に負け、大幅に数を減らしたり、絶滅の危機に瀕しています。


白花と言えるかな? かなり色が薄いものがいました。
 白花と言えるかな? かなり色が薄いものがいました。

 

 その中で例外的に、ネジバナは低地の都市部から亜高山帯まで見ることのできます。 ネジバナは他のラン科植物にはない、ある種の強靭さを獲得したのかもしれませんね。 しかし同じ場所で長年に渡り咲き続けることもないようであり、大群生が数年で消滅することも珍しくないそうです。 この場所でもいつまで見ることができるかわかりませんが、少しでも長く生き続けてほしいと思います。

 

2015.07.19 掲載