アオキラン

 

青木蘭 ラン科 トラキチラン属

Epipogium japonicum Makino

絶滅危惧1A類 (Critically Endangered)         

 

 アオキラン  2012.09.22 山梨県
 アオキラン  2012.09.22 山梨県

 

 アオキランを見ることができました! 少し古いですが2000年の環境省のレッドデータブックでは現存個体数が50未満とされた、超希少種です。 ネットで検索すると10〜20株も固まって咲いている写真も見られるので、実際にはもう少しいるのかも知れません。

 

 落葉樹林内に生える、葉緑素を持たない、菌従属栄養植物です。 和名は発見者の一人、青木信光氏の名によります。 花期は8〜9月。

 

 アオキラン  2012.09.22 山梨県
 2012.09.22 山梨県

 

 時期は少し遅かったようです。 最初に見つけた株は痛みがひどく、ここに掲載できるような状態ではありませんでした。 今年は夏が異常に暑かったので、花期がズレてしまったのかな?  がっかりしましたが、「上の方なら咲き出しが遅いだろうから、まだ咲き残っているかも!」と思い、諦めずに登って丹念に探したら、まだ状態のよい株が3株見つかりました! うれしい〜!

 

 アオキラン  2012.09.22 山梨県
 2012.09.22 山梨県

 

高さは10〜20cm。 遠目にはとても

地味な色合いの植物で、目立ちません。

 

 アオキラン  2012.09.22 山梨県
 2012.09.22 山梨県

 

 萼片、側花弁は披針形で長さ約10mm。 側萼片がキラキラ輝いて美しい! 側花弁の色合いはちょっとコハクランを連想させました。 背萼片のすぐ下にある淡黄色の部分は蕊柱の葯です。 その下の穴は距に続きます。 唇弁は広卵形で全縁、両面に紅紫色の斑紋があります。 この斑紋を見て、カモメランを思い出しました。 唇弁の縁は内側に巻き込んでいました。 この写真のみ、リングライトを使った撮影です。

 

 アオキラン  2012.09.22 山梨県
 2012.09.22 山梨県

 

 距が金色っぽく輝いて見え、美しい。 距はわずかに前方に曲がります。 先端は太く、やや2裂しているのですが、見えますか? クリックして拡大してみてください。 この写真では唇弁の裏側にも斑紋があるのがわかります。 

 

 花柄子房はねじれていないので、このランは「ストレート・唇弁下側タイプ」ですね。(多くのランは花柄子房が180°ねじれて唇弁を下側にします)

 

 冒頭にあるように、本種は絶滅危惧1A類という最悪のランクに位置付けられています。 まさに「絶滅の半歩手間」の状態と言えます。 この日本からこの植物が消えてなくなってしまわないことを、切に願わずにはいられません。

 

 アオキランを見ることができたので、図鑑に載っているトラキチラン属3種をすべて見ることができました。 面白いことにみんな発見者の名がついているのですね。 簡単に3種をまとめてみました。 詳細はそれぞれの花のページをご覧ください。

 

種名      発見者氏名   生育環境

アオキラン   青木信光    落葉樹林内

タシロラン   田代善太郎   常緑樹林内

トラキチラン  神山虎吉    針葉樹林内

 

 

 アオキランは福島県の花友のYさんにいただいた情報により、見ることができました。 心より感謝致します。 どうもありがとうございました。

 

2012.09.27 掲載

 

 

もっとアオキランを見る

 Dairy-Hiroダス

  2017年9月3日 今週もカイちゃん

  2015年9月12・13日 信州4人で花さんぽ

  2012年9月22日 アオちゃん探し

 

 

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コメント: 2 (ディスカッションは終了しました。)
  • #1

    BOGGY (木曜日, 27 9月 2012 16:55)

    今日は。
    多分この目では見られない貴重なラン、見せて貰えて嬉しいです。
    ランというのは植物の中でも、誕生の歴史はきっと古いもののような気がしますが、どうなのでしょうね。

  • #2

    hanasanpo (木曜日, 27 9月 2012 21:44)

    BOGGYさん、こんばんは!
    数は少ないようですが、私たちにも見つけられましたので、ぜひ探してみて下さい。

    ランの歴史はきっと古いと思いますよ。全世界で730属17000種があるとも言われています。
    非常に多様な進化を遂げ、今も急速に進化していると考えられているそうです。
    昆虫との「共進化」を示す種もあり、私は子房がねじれて唇弁を下に持ってきたのは、共進化が関係していると想像しています。
    本当に興味が尽きない植物ですね!