ノビネチドリ

 

延根千鳥 ラン科 テガタチドリ属

Neolindleya camtschatica (Cham.) Nevski

 

ノビネチドリ群馬県吾妻郡六合村(現 中之条町) alt=1530m
 2007.06.17 野反湖 群馬県吾妻郡六合村(現 中之条町) alt=1530m

 

 ノビネチドリは2005年の6月に野反湖で初めて見ることが

できました。 牧歌的な風景の広がる野反湖にピッタリの花

だと思いました。 その後数年間は目を楽しませてくれ、白

花も見ることができました。 毎年ノビチーに会うのが楽し

みだったのですが、残念ながらいつの間にかすっかり姿が見

られなくなってしまいました。

 

ノビネチドリ 2005.06,.19 野反湖
 2005.06,.19 野反湖

 

和名は根が横に伸び、花の形が

鳥の飛ぶ姿に似ることに由来。


ノビネチドリ(白花) 2005.06,.19 野反湖
 白花
ノビネチドリ(白花) 2005.06,.19 野反湖
 2005.06,.19 野反湖

 

白花もいくつか見ることができました。ノビネチドリは、

白花の発生が多い種だそうです。

 

ノビネチドリ 2010.06.19 山形県    alt=1420m
 2010.06.19 山形県 alt=1420m

 

 山形県の山でもたくさん見ることができました。 ノビ

ネチドリの茎は高さ30〜60cmで、太くしっかりした印象。

大きな葉が目立ちます。 葉は5〜10個つき、楕円形〜狭

長楕円形で、長さ7〜15cm、幅2〜6cm。 葉面には縦に

折り目があり、縁は波状に縮れます。 似ていると言われ

るテガタチドリやハクサンチドリの葉は縮れません。花を

見ずとも、葉を見ればノビチーであると識別できます。

 

ノビネチドリ 2010.06.19 山形県    alt=1420m
 2010.06.19 山形県  alt=1420m

 

 図鑑には「山地の樹林下の湿った場所に生える」と

ありましたが、ここは湿った場所ではありましたが開

けた草地で、樹木は少なかったです。 必ず樹林下に

生えるものでもないようです。 花色は薄いものから

濃いものまであり、目を楽しませてくれました。

 

ノビネチドリ 2010.06.19 山形県    alt=1420m
ノビネチドリ 2010.06.19 山形県    alt=1420m

 

 花色と花柄子房(茎と花被片の間の部分)の色には

相関があるようです。 薄い花色の個体の花柄子房は

緑色であり、濃い花色の個体の花柄子房は暗紫色〜褐

色です。

 

2012.06.24 群馬県 みなかみ町 alt=1360m
2012.06.24 群馬県 みなかみ町 alt=1360m

 

 今年(2012年)も立派な株を見ることができました。

茎は太く、大きな葉をたくさんつけて、花も密にびっし

りと咲かせ、元気いっぱいのノビチーでした。 この場

所も樹林下ではなく開けた草原でしたが、近くに湿原も

あり、地面はやはり湿った感じでした。

 

ノビネチドリの花の構造-1(背萼片、側花弁、側萼片、唇弁、苞)
ノビネチドリの花の構造-1

 

 苞は披針形で花とほぼ同長か、やや長いです。 背萼片は長さ約5mmで狭卵形。 2個の側花弁は斜卵形で萼片より短く、背萼片とともにかぶと状に蕊柱を囲みます。 側花弁はやや重なり合っている場合も多く見られました。 側萼片は、ほぼ真横に開きます。

 

 唇弁はくさび状の広卵形で萼片よりやや長く、先は3裂します。 中裂片は鈍頭、側裂片は中裂片より長く、先はやや狭くなり鋭頭気味になります。 似ていると言われるテガタチドリも唇弁が3裂しますが、中裂片と側裂片は同長・円頭であり、本種と区別は容易です。

 

ノビネチドリの花の構造-2(花柄子房、距)
ノビネチドリの花の構造-2

 

 距は短く、長さ約3mm。 強く湾曲し、先端は前方を

向きます。 この点でも長くほぼ真っすぐ後ろに距を

すテガタチドリとは大きく異なります。

 

 花柄子房は180°ねじれているのがわかります。 ノビ

ネチドリは、花柄子房を180°ねじらせて唇弁を花の下側

に位置させる、「標準タイプ」のランです。

 

 

2012.12.03 掲載

 

チドリ3種比較

テガタチドリ、ノビネチドリ、ハクサンチドリの3種を比較!

 

 

コメント: 8 (ディスカッションは終了しました。)
  • #1

    一期一会@兵庫 (水曜日, 05 12月 2012 06:58)

    出張以外で山野草探索で遠出する事はほとんどありません。
    ノビネチドりも見た事がありません。綺麗ですね。機会があればみたいですが・・・・・です。テガタチドリは去年7月10日富士山5合目までドライブし草原の中に数株咲いていました。今年7月29日の行きましたが見られませんでした。

  • #2

    hanasanpo (水曜日, 05 12月 2012 21:15)

    関東近辺では、どちらもある程度標高が高い草地や樹林帯のそばで見ることができました。少し湿って、時間により日陰となるような場所が多かったと思います。 来年は出会えるといいですね!

  • #3

    みっちゃん (木曜日, 26 6月 2014 00:48)

    昨日雷雨の中野反湖でこの花と思われる花に出会いました。
    花には全く素人で写真も下手ですので判別困難かもしれませんが、
    「野草に関する情報をお寄せください」と云う写真掲示板に投稿します。

  • #4

    hanasanpo (木曜日, 26 6月 2014 03:16)

    みっちゃんさん、野反湖に行かれたのですね!
    標高が高いので、雷雨はちょっと恐かったのでは?
    よろしかったら、当サイトの画像掲示板にもぜひ投稿してください。

  • #5

    鳴海 聖浩 (日曜日, 12 6月 2016 14:26)

    北海道東部の小さい町ですが、ノビネチドリは6月上旬の散歩中に農道わきで約100本確認出来ました。もうそろそろ花の終わりを迎えています。来年、この季節の散歩が楽しみです。

  • #6

    HiroKen (月曜日, 13 6月 2016 07:46)

    鳴海さん、コメントをありがとうございます。
    花は、所変われば、ですね。農道脇でたくさんのノビネチドリを観察できる環境は、羨ましい限りです。ノビネチドリは、とても見応えのあるランですよね!

  • #7

    鳴海 (金曜日, 17 6月 2016 12:19)

    その後の散歩でも、コースを変え2時間程度探しました。 昨日は勘が的中し、6本確認・・待ち焦がれた人に出会った気分です。

  • #8

    HiroKen (金曜日, 17 6月 2016 17:03)

    ノビネチドリには久しくお目にかかっていません。ご近所の散歩で出会えるなんて素晴らしいですね。北海道では、きっと珍しくない植物なのでしょうね。いつまでもその環境が残されますように。

テガタチドリ
テガタチドリ
ミヤマモジズリ
ミヤマモジズリ